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『なし崩しになる原発ゼロ』~NHKラジオ 金子 勝さんの「あさいちばん・ビジネス展望」の要約

2012年10月03日 | ラジオ番組

『なし崩しになる原発ゼロ』
       10/3 NHKラジオ 金子 勝さんの「あさいちばん・ビジネス展望」の要約です。

去る 9月14日に『革新的エネルギー・環境戦略』が決定した。
しかしながら、その直後から、
青森県や福井県など立地自治体、財界3団体、連合会長などから強い圧力があって
閣議決定は取り止めとなった。

その後、
枝野経産相が大間原発の建設再開を容認するなど、なし崩しの動きが進んでいて、
これでは、
2030年代に原発をゼロとすることは、誰の目から見ても難しいこととなった。

また、自民党の総裁選において、候補者全員が原発ゼロに反対していた。
次の総選挙で政権交代すれば、
原発政策は旧に戻ってしまう事は間違いなさそうである。

次に、この戦略では、
原発をゼロにしても『使用済み核燃料の再処理事業は続ける』と言っている。
普通に考えれば、原発ゼロなら使用済み核燃料の再処理は必要ないわけである。

しかしながら、再処理事業を中止する場合は、
国は六ケ所村から、大量の処分先のない使用済み核燃料を引き取らなくてはならない。
しかし、国としてはそういうことは、とてもできそうにない。
だから、原発をゼロにしても『使用済み核燃料の再処理事業は続ける』と言うわけである。

民主党政権のこのような決定は、矛盾に満ちているが、
また、これを根拠として、青森県が原発ゼロに反対する、というのも、おかしな話しである。

だいたい、
使用済み核燃料の再処理を行う『各燃料サイクル事業』は、完全に破綻しているのである。
六ケ所村の再処理施設は、
1989年の計画時から20年以上経っても、未だにアクティブ試験中であり、
去る9月19日には、再処理事業の本格開始を 1年延期し、19回目の延期となった。
恐らく、本格稼動の見込みなど、おおよそ無いとしか思われない。
この間には、約3兆円のお金、つまり電気料金も使われている、のである。

高速増殖炉『もんじゅ』も、
約2兆円の税金が費やされているが、稼働する見込みがない。

その上、高レベルの放射性廃棄物の最終処分場が、決まる見込みもない。
稼働開始する見込みのない再処理事業を継続するというのは、
究極的な「つけ」の先送りである。

『使用済み核燃料』問題の深刻さを、もっと正面から直視しなければいけない。
六ケ所村の再処理工場の貯蔵プールは、すでにほぼ満杯である。
新たに、むつ市に中間貯蔵施設を建設中であるが、
その受け入れ能力も、約6年で満杯になってしまうようである。

原発を再稼働できるか否かの決定は、
貯蔵施設の空き具合、
つまり受け入れ可能な使用済み核燃料の総量から逆算して決める方が、
よっぽど合理性があるというべきである。

次に、『原発ゼロ』だと大幅に電気料金が値上げになるという主張がある。
「原発ゼロだと電気料金が2倍になる」と言っている。

この夏を前にして、大々的な『電力不足キャンペーン』が行われた。
しかし、実際には、原発の稼動なしでも足りることがわかった。
そこで、原発をなんとしても稼動させたいが為に、
次に打ち出されたのが、
この『電気料金が2倍になるぞ』キャンペーンである。

実際には、原発を今後もそのまま維持・稼動していても、
電気料金は最大1.7倍まで上昇してしまう。
つまり、原発を止めようが続けようが、さして変わらないのに
『原発ゼロだと2倍になる』と、片方の数字だけを一人歩きさせている。

財界は『電気料金が2倍になる』から、企業の国際競争力を削ぐと言っている。
しかしながら、現行の総括原価主義を採る限り、
燃料費の上昇分は
形式上、自由化されている企業向けではなくて、
一般家庭用の電気料金に転嫁できる仕組みになっている。

ついでに言えば、
東京電力の場合、利用者の38%しか占めていない一般家庭用の販売で、
利益の 9割以上を占めるという、いびつな構造になっている。

また、『電気料金が2倍になるぞ』キャンペーンを華々しく繰り広げ、
「原発を続けていれば、電気料金が上がらない」と、言い続けている事には、
原発のリスクに対する感覚の麻痺がはっきり現れている。

安全投資を充分にせず、使用済み燃料のことも考えず、
事故の起きた時の莫大な損害・費用も考えない。
その上で、老朽原発を長く稼動させる事ばかり考えているので、
原発のコストが安価に見えてしまうのであろう。

また、電力問題では、省エネや節電についても、関心を払うべきである。
特に節電については、『電気を使うのを我慢する』節電ではなくて、
工場・ビル・地域の電力需給をITでコントロールする『スマート化』
による節電を図るべきである。

『スマート化』を普及させて電気料金を抑えながら、技術を輸出すれば、
『スマート化』を大きな日本の産業とすることができる。


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