NPO法人大雪山自然学校 旭岳自然保全員ブログ

URL: https://daisetsu.or.jp TEL/FAX:0166-82-6500

【大雪山国立公園・旭岳情報】シラタマノキはサロンパスの匂い

2022年10月03日 | 大雪山国立公園旭岳・天人峡情報

【日付】2022/10/3(月)
【場所】旭岳・姿見の池園地
【天候】晴れ
【気温】13℃
【風速】2m/s

私たち旭岳自然保護監視員は、毎朝8:40便のロープウェイに乗車し、姿見駅へ向かいます。

今日は朝は曇り。しかし駅前は今日もたくさんの方で賑わっています。

特にツアーの方が何組も重なると、とっても楽しそうな声が響きます。

下山道には植物名こそわかりませんが、まるで稲穂のようになびく、イネ科もしくはカヤツリグサ科の植物が風に揺られていました。

下界でのススキを連想させます。

ダイセツタカネフキバッタです。姿見の池園地では久しぶりに見ました。体長2㎝ほどの小さなサイズ。

オスです。

昨日は休みで当麻岳に居ましたが、そこでも見られたので「大雪山が繋がっている」という当たり前のことに気付かされました。

姿見カウンターから見える当麻岳、左側の耳が山頂です。

 

よく散策の方に、「この花は何ですか?」と聞かれます。

これは花ではなくすでに実になったもの。シラタマノキです。

園地内、至るところで見られます。白いのでとても目を引きます。1日に何度も聞かれるのも無理はありません。

園地内、今の時期は花という花は咲いていません。木の実の季節です。

「アカモノ」という植物があるので、それと対比して「シロモノ」という別名がつけられれているようです。

以前ガイドさんが「サロンパスの匂いがする」と自身のグループの方に説明していました。

その理由は「サリチル酸メチル」。果実や葉を潰すと匂うそうです。

爽快感のある匂い、まさにサロンパスの匂いのことでしょうか。

もしくはこのおなじみののど飴の味?

効能もあって、鎮痛剤や、抗炎症作用もあるようです。

非ステロイド性抗炎症薬に使われているとのこと。そのため「湿布の木」の木とも呼ばれるそうです。

この植物は薬にもなるんですね!毎日見ているだけに驚きを隠せません。

私もアトピー性皮膚炎を持っているので、手荒れなどに悩む季節になりました。

叶うなら民間療法としてでもシラタマノキで効果があるのか、ぜひ試してみたいものですが、

ここは国立公園。動植物の採取・捕獲は禁止されています。

どこか別の場所で見つけたら実験してみようと思います。

 

熟した実だと甘く、アルコールに漬けて果実酒にして楽しむ人もいるようです。

参考:https://sansaibook.com/gaultheria-pyroloides/

https://www.kegg.jp/entry/dr_ja:D01087

 

見てもかわいい、食べても美味しい、さらに薬にもなる…

高山帯にこんなにも優秀な植物があったのですね。

まるでクラスに一人くらいいる、美人・ハンサムで文武両道な同級生ような印象に変わりました。

巡回中、姿見階段の手すりの蓋をつけ直していました。

気付いたらそのロープの外にもたくさんの実が成っていて、小さなライトが照らされているようにも見えます。

午前中は日差しが暑く感じましたが、正午をまわると霧が出て風が寒く感じられました。

明日は天気が崩れそうです。ついに旭岳が冠雪するのでしょうか。

もう旭岳では冬が始まろうとしています。ダウンジャケットや手袋など、温かい服装でお越しください。  

また体が寒さで縮こまると、足首など動きが鈍くなり怪我をしやすくなります。

そんな時は暖かい飲み物を飲んだりして、展望台や駅舎の展望デッキでゆっくりと休みながら歩きましょう。

旭岳自然保護監視員:宮原

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿