日本の心・さいき

日本の文化を通じて、世界平和を実現させましょう。

自分の心のあり方との闘い。

2007-01-18 07:08:35 | Weblog
 ある偉い教授が、いつも言っていた、「癌になったら、本人、生きている内にするべきことがあるはずなので、出来るだけ早く、本当のことを言ってあげなさい。」と。で、弟子は、その教授が癌になってしまったので、その通りに、直ぐに言ってしまった。その教授、落ち込んでしまって、亡くなる前に言ったそうな、「癌であっても、直ぐに言わずに、時期を見計らって、告知した方がいい。時には、家族にだけ言って、本人には、露骨に言わない方がいい場合もある。」と。
 又、別の例で、やはり、著名な教授が、癌になった。奥様の願いもあり、弟子は、最後まで、癌とは言わなかった。その教授は、いつもニコニコして、本人が知らない感じに見えていた。が、闘病中に、教授の書かれていたものから、弟子が知った。弟子が心配してはいけないと思って、初めから、本当のことを知っていたが、ずっと知らないそぶりを見せていたのだ。
 ある50歳前の医師が、長年、癌医療の最前線で活躍していた。ところが、自分が大腸癌になってしまった。手術をしたが、1年後に再発した。それは、医学上、絶望的なものだった。彼は、その道のプロの為、予後、癌の症状、薬の効能、副作用、全て知っていて、再発した患者の死をいやと言う程、見て来ていた。それだけに、自分の頭から死の影を振り払おうとすればする程、逆に、不安と恐れが強くなっていった。
 そんな中で、ある医師が提唱する「生きがい療法」を取り入れ、生き方を変えた。
 それは、「いま一日の生きる目標に打ち込む」「人の為になることを実行する」「不安・死の恐れと共存する訓練をする」「死を自然界の事実として理解し、今出来る建設的な準備をしておく」と言うもの。
 癌が再発したその医師は、以上の4つの提唱を心に刻み、前向きに生きることを着実に実行して行った。ボランティア活動にも参加し、人に喜んでもらえる幸せも味わった。そして、いつしか、癌への不安、死への恐れが消えて、心が安定している自分に気が付いた。
 癌の再発から6年が経った。癌を克服したのである。
 私のよく知っている人(お茶の仲間)で、胃ガンになった人がいる。彼女は、かなりのインテリで、医大で自分のカルテをこっそりと見て、事実を知った。教授は、「今、手術をしないと助からない。手術しないで助かれば、私の首をやる。」とまで、断言した。まだ、30歳前の彼女にとって、その言葉ほど、今から生きる上で、きつい言葉はなかった。しかし、彼女は、抗ガン剤の副作用を恐れ、抗ガン剤を一切飲まず、積極的な治療はせずに、ある宗教めいたものに走った。結婚も諦めた。検査だけは、定期的に、行った。不思議なことに、腫瘍は、次第に小さくなり、そして消え、それから、20年以上経った今も元気にしている。
 死よりも、死の影におびえていると、地獄になる。これでは、自然治癒力を自分で弱めている様なもの。生かされている今を喜び、命尽きるまで、生命を輝かして生きよう。

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