<1208> スズメの大群
一斉に 雀群れ飛ぶ 冬景色
最近、スズメの大群を見かける。スズメは民家の軒先などに姿を見せる身近な小鳥だが、最近の家は軒に巣を作るような隙間がなく、民家に巣を作るツバメと同じく、スズメが少なくなっていると言われて来た。だが、このところスズメが増えているような感じがある。このほど目撃した大群は二百羽以上が稲刈りを終えた田で落ち穂などを漁り、竹林をねぐらにしているようで、みんな竹林に吸い込まれるように姿を消して行った。
これは、大群を作り、竹のような樹木類にねぐらを求めるスズメの仲間のニューナイスズメ(入内雀)の特徴に似ている。ニューナイスズメはスズメと異なり、雄は頬に黒斑がなく、頭部が鮮やかな栗色をし、雌は全体に淡茶色で、黄土色の眉斑が見られる。アジアのほぼ全域に分布し、日本に棲息するものは中部以北や朝鮮半島などで夏の繁殖期を過し、寒い時期になると、日本の南西部にやって来て越冬すると言われ、大和地方では冬のこの時期に見られる。
大群をなし、竹林などをねぐらにする特徴により、このほど目撃した大群はニューナイスズメかと思われた。だが、頬に黒斑が見られるので普通のスズメであると言える。とするならば、民家などでねぐらを失ったスズメがニューナイスズメ化してねぐらを竹林のようなところに移したということも考えられるか。それとも、スズメとニューナイスズメの雑種ということもあり得るのだろうか。とにかく、このほど見かけた大群はニューナイスズメを思わせるほどの規模の大群だった。
ニューナイスズメはスズメと同じく、稲の穂を食い荒らすので害鳥とされ、制約なく自由に捕獲出来る鳥で、随分昔のことだが、私が若いころ、竹林に網を張ってこのニューナイスズメを一網打尽にしていたのを見たことがある。捕獲して山と積み上げられたニューナイスズメは生臭い臭いが鼻を衝いたが、そのとき、焼き鳥にするというのを聞いた。このほど見かけたスズメの大群は果たしてどのような経緯によって今の大群を形成しているのだろうか。 写真は竹林に向かって飛んで行くスズメの群(左)とビニールハウスの外枠のアームに止まって一列に並ぶスズメの群 (目のように見えるのは黒斑。斑鳩の里で撮影)。
群雀 冬を分かちて ある姿
睦まじく 仲好く 冬の雀かな
群雀の 気負ひ冬野の 着地点
冬もまた 楽しまばよし 群雀
群雀 添ひて並びて 冬日差す