<3353> 写俳百句 (48) 彼岸の中日
花あまたあれどもやはり桜花
今日は春分の日。彼岸の中日。まことに暖かな日和。「毎年よ彼岸の入りに寒いのは」と正岡子規の句にある。また、「暑さ寒さも彼岸まで」と言われ、「そうだな」とうなずけるところがあった。だが、昨今の四季の巡りはそれを肯えない現象傾向になっている感がある。ソメイヨシノの開花も今年は例年に増して早く、すでに各地で開花宣言がなされ、異例と報じられている。
大和地方(奈良県)では標準木にまだ開花が確認されていないようであるが、公園などではもうかなりの花がついている。この調子だと、四月の声を聞かないうちに満開を迎えるのではないか。これもやはり地球温暖化の影響か。多分、そういうことであろう。草木の日々は気候に左右され、その営みに現れる。ソメイヨシノの花が早いというのはその傾向の一端にほかならず、地球温暖化が意識される。
これは、もちろん、四季にかかわる全ての生きものにおけるもので、私たちにも関係する環境の問題である。この問題が日常に表面化して来ただけのことだと思う。そして、その傾向は一つの方向に向かってその度を高め、早めて行くことが思われる。
暖かでそこここにソメイヨシノの開花が見られる心地のよい彼岸の中日。その暖かさの中で、ふと、子規の句が思い出され、新型コロナウイルス禍の昨今の事情とともに、何か異変のような感覚にもあることが思われたことではある。それにしても、サクラの花が咲くと、花はやはりサクラだと思えてくるところがある。 写真は咲き始めたソメイヨシノ(馬見丘陵公園)。
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