大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2014年11月05日 | 写詩・写歌・写俳

<1158> 欲 望 の 展 開

       欲望の坩堝と化して見ゆる視野 世界は軋む果てもあらなく

 実体のともなわない株価の乱高下に一喜一憂するまこと欲望の世界。その乱高下に与するのが国であり、日銀であるという日本国の危うさ。この度の株価の上昇が、日銀の資金操作と年金の積立金を株式運用に回すというテクニックによるものであること。これによって株価上昇に効果があった。しかし、この急な株価の上昇は、急であるということが見る目の肝心なところで、実体経済を反映したものではない金融テクニックに過ぎないということを意味している。で、この株価はいつまた急に下がるかわからない覚束なさを内包しているということを覚えておく必要がある。

  株価の上下は株の売り買いによって起きる現象である。その売り買いが誰によってなされているかということが問題で、今回は国や日銀がそれに加担した。サプライズという人もいて歓迎されているが、この不意打ち的操作を今後、誰かこれ以上の仕掛けをしないとも限らない。そうした場合、乱高下は尽きず、大きく値を下げるということも起きる。その乱高下は株価の上下による差益で稼ぐプロの投資家によって仕組まれることが多いから、実体経済に関わりなく、運用の展開がなされることになる。これは実にゲーム的であり、博打的と言える。いかさまでもないが、そのテクニックは一般投資家の及ぶところではない。

                   

  国や日銀の介在にはその筋のプロが当たっている。とすれば、一般投資家とは違うだろうが、そうだとしても、その株式運用にはプロ対プロの戦いが展開されていることになるわけで、その資金力によって自ずと勝負は決して来る。これが金融の姿というものである。言わば、お金というのは低いところから高いところに流れて行く。大借金をしているような国や日銀の対処などでは太刀打ち出来るものではない。要は、株価の上下などというのはプロの投資家がどのように動くかにかかっている。

 然るに、一般投資家はこの一時的株高に欲望を掻き立てられ、株の買いに走ることになる。多分、賢い株主はこのときとばかり売りに出す。そして、暫く様子を見る。そうしているうちに、プロは株価高騰のころ合いを見計らって、株の運用を仕組んで行く。これが株式の実態であり、実体経済とは関わりのないところで、運用され、動いて行く。

  で、結局のところ、運用する資金は潤沢な資金を有するプロのさじ加減によって流れて行く。この仕組みは一種の博打と言ってよい。言わば、世界はこの巨大な博打に支配される欲望の世界と化し、人類に大きな影響をもたらすことが言える。大方の国で貧富の差が大きくなっている背景にこの金融の状況があることは間違いないところであろう。

 この欲望を内に秘めた傾向は、カジノの誘致の問題などにも現れていることであり、インフレに向かう宝くじなどにもうかがえる一獲千金の欲をくすぐる。これが夢と思えるくらいならよかろうが、博打は命取りになりかねない。博徒は儲け話には花を咲かせるが、負けたときの話は口を噤んでしない。国や日銀がこういう一獲千金の世の中に率先して与しようとしている。まことに危険なことで、異常としか言いようがない。

  こうした成り行きに私たち国民が対処するには、それに与しないことが何よりで、株価の乱高下など知ったことではなく、ケセラセラと日々慎ましく生活することである。まあ、大半の国民はそうしているだろうが。とにかく、最近の世界は欲望の坩堝と化したように見える。そして、この欲望による混乱は世界にいよいよ広まり、武力と金力による支配と競争の戦いが尽きることなく展開されて行くことが思われる。実体経済についてはいつかまた述べてみたいと思う。 写真は今日の為替レートと株価(NHK総合テレビより)。

 


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