大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2021年11月28日 | 植物

<3602> 奈良県のレッドデータブックの花たち(142) ジガバチソウ(似我蜂草)               ラン科

                 

[学名] Liparis krameri var. krameri

[奈良県のカテゴリー]    絶滅危惧種(旧無指定)

[特徴] 山地の林内や林縁に生えるクモキリソウ(雲切草)の仲間の多年草で、偽球茎を有し、2個の葉と1個の花茎を直立する。葉は長さが3~8センチの広卵形で、基部が狭くなり葉柄に続き、茎を抱いて向かい合うように斜上してつく。葉は縦脈のほか横脈の2次脈もはっきり見え、網目模様になる。この網目模様が似通うクモキリソウにはなく、両者の判別点になる。

 花期は5~7月で、高さが8~20センチの花茎上部に総状花序を出し、数個から20個の花を下から順に開花する。花は萼片、側弁、唇弁などからなり、花もクモキリソウに似るが、クモキリソウでは唇弁が下方に反曲する。これに対し、ジガバチソウでは反曲せず、先端が垂れ下がって細く尖り、両側に突起が見られる。

花の色は淡緑色から黒褐色まで変化があり、淡緑色のものをアオジガバチソウ(青似我蜂草)、黒褐色のものをクロジガバチソウ(黒似我蜂草)と呼ぶ場合もある。ジガバチソウ(似我蜂草)の名は花の形がジガバチ(似我蜂)、1名コシボソバチ(腰細蜂)に似ることに因むという。

[分布] 北海道、本州、四国、九州。国外では朝鮮半島。

[県内分布] 奈良市、天理市、御所市、宇陀市、東吉野村、御杖村、川上村、天川村、十津川村。

[記事] 大和地方では「生育地ごとの個体数が少なく、花形が面白いので園芸栽培用にみつけ次第採取されることが多く、近年急速に生育地が減少している」とレッドデータブックは指摘している。 写真は花をつけたジガバチソウ(左)、花序のアップ(中)、葉のアップ(網目模様が浮き立って見える)。

   生きいることは

   働いていること

   生きものはみな

   それぞれにあり

   働いているから

   生きていられる