<3227> 写俳百句 (12) 吊し柿
吊し柿たのむ日差しの温さかな
「吊し柿」の季語は秋。だが、私の心持ちの中では初冬である。日本列島は南北に長いので、北と南では四季の訪れに差がある。ので、季語の設定と実感とに違いが生じることがある。殊に温暖化によって季節の変化に影響が出ている昨今においては季語に対する捉え方に感覚的な悩ましさが増えているのではないだろうかと思われる。これは季語を大切にする俳句における実作者の悩ましくも感じるところである。
「吊し柿」でも北国で言えば秋だろうが、南国では冬になるのではなかろうか。温暖化の昨今では暦とのずれがいよいよ顕著に及び、季語の規定が俳句実践者の感覚に縛りを加え、句作の実践において作句者に影響する悩ましさが思われるところで、私における「吊し柿」の季語に対する悩ましさも、この事例に含まれることが思われたりする。
それはさておき、「吊るし柿」と言えば、カラスに突かれてしまった昨年のことが思い出される。そろそろ渋が抜けて食べられるかと思っていた矢先、カラスに襲われ、台無しになってしまった。我が家の周辺でカラスやヒヨドリがうろうろしているのがわかっていたので、注意し、半透明のカーポートの屋根の下に干していたのであるが、留守にしている間に、カラスが入り込んで来たらしく、いま少しというところで、二十個ほど、ほとんどを突かれてしまった。今年はその轍を踏まないように注意しているが、果たしてうまく干し柿になるかどうか。 写真は我が家の吊し柿。