<2834> 余聞、余話 「移りゆく時の表情」
移ろへる時の表情渡りするものらに動きのある季節感
野鳥には夏と冬で棲み処を変える渡り鳥や漂鳥のような鳥がいる。これらの鳥にとって春と秋は移動の季節で、動きが活発になる感がある。チョウの中にもアサギマダラが移動の渡りをする。里の自然林が見られる奈良県の県営馬見丘陵公園では、この渡り鳥や漂鳥が見られ、ときにアサギマダラも見受けることがある。
温暖化で、四季にメリハリがなくなりつつあるのを感じるが、秋を深くするこの時期、渡りをして居場所を変えるものたちがいて、移動に備え体力をつけるためであろう、動きを活発にして見えるものたちがいる。一方、冬場をこの公園で過ごすものたちが姿を見せ始め、夏冬混交の様子がうかがえるのも、言わば、春と秋の時期である。
この間から目にしているもので言えば、ツバメはいなくなったが、夏鳥ではキビタキ、コサメビタキ、エナガなどが常住するメジロやシジュウカラ、コゲラなどに混じって見られる。冬鳥では急に涼しくなった一昨日(九日)、園内の上池にカモの仲間のキンクロハジロが三羽。今冬の魁といったところ。旅鳥で、まだ南に向かうのかも知れない。漂鳥のヤマガラやモズも姿を見せている。
もうすぐ南西諸島方面へ旅立つアサギマダラが今を盛りのセイタカアワダチソウの花に来て頻りに蜜を吸っているのが見られた。普通、キク科のフジバカマやヒヨドリバナによく来るが、セイタカアワダチソウも相性がよいと見える。蜜をいっぱい吸って遠路二千キロの目的地に向かって旅立つのに違いない。
渡りをするヒタキ科の野鳥で言えば、夏鳥のキビタキやコサメビタキが姿を消すと、冬鳥のジョウビタキやルリビタキが姿を見せる。 写真上段はキビタキ(左)、コサメビタキ(中)、アサギマダラ(右)。下段はキンクロハジロ(左)、ヤマガラ(右)。