大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2019年07月23日 | 写詩・写歌・写俳

<2755> 余聞、余話 「クマゼミの異変」

      ときにより季(とき)にふさはぬ風景のこれや見ゆるに異変とは呼ぶ

 今年は梅雨が長く、七月になってもまともな晴れの日が極めて少なく、例年に比べて気温も低い気がする。猛暑も敵わないが、梅雨が終わらないのも異常に思える。祇園祭(前祭)の山鉾巡行が行われる十七日前後が例年梅雨明けであるが、今年はまだ梅雨が明けたという報がない。大阪浪速の天神祭りももうすぐ。子供たちは夏休みに入った。梅雨明け前に夏休みは珍しいのではないか。十五日の海の日は寒いほどの天候で人出がなかったと聞く。また、日照不足で野菜などの不作が懸念されているが、何が原因しているのか。昨年のような猛暑続きも辟易だが、ぐずつく天候の夏も気になる。

                

 そう言えば、この時期になると、朝方、クマゼミの激しい鳴き声の聞かれるのが通例であるが、我が家の近辺ではまだそのシャワーのような激しい合唱の鳴き声を聞かない。二、三日前から、それとなく聞かれ、徐々に激しさを増してはいるが、まだ、盛りの勢いが感じられない。庭の木にはそこここにクマゼミのものらしい大きな抜け殻がぶら下がっているので、盛夏の季は確実に巡り来たっていると思えるが、クマゼミの鳴き声に勢いがないのはやはり気になる。抜け殻が一つだけならば、個的な特異事情と見なせるが、そこここに見られ、鳴き声がないというのは、やはり異常なことで、考えさせられる。

  地球規模で見てみると、こうした梅雨が長引く極東の日本列島に対し、地球の反対側に当たるヨーロッパでは熱波が襲い掛かっているという。遠い国の異変は互いに実感出来ないところ。しかし、地球規模にして考えれば、それは個々に起きていることではなく、繋がっていると思える。確か昨年は日本が熱波に襲われ、ヨーロッパで長雨による洪水が起きた。クマセミの異変は、小さなことかも知れないが、小さいことでも大きい意味の告知としてある場合もある。と考えれば、小さいと思える異変にも感をもって向かうことが肝心である気がする。 写真はセミの抜け殻(大きさからしてクマゼミのものと思える)。