<2225> 余聞、余話 「皆既月食」
月食もあれば雪降ることもまたありてこの身の生はあるなり
一月三十一日の夜、皆既月食を見た。午後八時五十分ごろ欠け始め、霞のような薄雲がかかっていたが、満月が徐々に欠けて行く様子は見られた。しかし、太陽と地球と月が一直線に並び、満月の月が完全に地球の影に入り、太陽の光の中でよく屈折する赤色によって隠れた月が赤銅色に見える状態に至ったとき、薄雲が少し厚くなった感があり、肝心な写真が撮れなかった。という次第で、欠け始めからの写真を並べてみた。これが大和国中の観月の結果で、多分、何処から見ても大差のない皆既月食だったと思われる。
二月一日の今日は朝から雪模様で、霙に変わる生憎の天気になった。立春が近いが、今年は寒さが持続している感がある。この雪も月食に同じく天体の姿、自然の様相にほかならない。果して、私たちの生、即ち、喜怒哀楽などもこの天体の内なる一片、微々たる仕儀ではないかと思えたりする。 写真上段は皆既月食の前半の様子。下段は刈田に積もった雪(斑鳩の里)。