大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2017年01月23日 | 植物

<1851> 大和の花 (128) チャルメルソウ (哨吶草)                 ユキノシタ科 チャルメルソウ属

                                     

 苔むすような渓谷や渓流沿いに生える多年草で、根生の葉は広卵形、または卵形で基部は心形。花茎は長く、20センチから大きいもので40センチほどに直立する。花期は4月から6月ごろで、花茎の上部に多数の小さな花を連ねる。萼裂片は直立し、5個ある濃紅色の花弁は羽状に細く3~5深裂する。果実が開口したところが唐人笛のチャルメラに似るところからこの名がつけられたという。

 本州の福井、滋賀、三重県以西と九州の北部に分布するとされる日本の固有種で、大和(奈良県)でも見られる。 写真は奈良市の春日山遊歩道での撮影。一見するだけでは、コチャルメルソウにもオオチャルメルソウにも似るところがあり、判別に迷うが、葉の形、花弁の裂け方、花数の多少などにより区別出来る。チャルメルソウはコチャルメルソウより花茎が長く、花数が多い違いがあり、オオチャルメルソウは葉の先が尖るのでそれとわかる。花弁が3裂しているのがチャルメルソウの最も特徴的なところである。 なお、チャルメルソウ属の仲間はテンナンショウ属の仲間と同じく地域変異が多い草本と言われる。    寒風や道を隔てて家二軒

<1852> 大和の花 (129) コチャルメルソウ (小哨吶草)          ユキノシタ科 チャルメルソウ属

    

  山岳の渓谷や増水すると水を被るような渓流の岩陰などに生える多年草で、チャルメルソウの仲間の中では小形であるのでこの名がある。根生の葉は広卵形から卵円形で、花茎の高さは大きいもので30センチほど。花期は4月から6月ごろで、花茎の上部に2個から10個の小さな花をつけ、他種に比べ、全体にずんぐりとした印象を受ける。

  5個の花弁は紅紫色または淡黄緑色で、羽状に細く7~9深裂する。雄しべは花弁の基部から離れ、花盤上につく特徴がある。花の後、地中に走出枝を伸ばして繁殖し、群落をつくることが多い。本州、四国、九州に分布する日本の固有種で、大和(奈良県)では低山から深山に広く見える。 写真は渓谷の岩陰に群生するコチャルメルソウ(西大台)、花弁が淡黄緑色系と紅紫色系のコチャルメルソウ。 陽が恋し 雀ふくらむ 寒の底

<1853> 大和の花 (130) オオチャルメルソウ (大哨吶草)      ユキノシタ科 チャルメルソウ属

                

  山地の谷沿いや山間の水湿地などに生える多年草で、長い葉柄を有する長卵形の根生の葉が見られ、他種との判別が出来る。花茎の高さは大きいもので40センチ前後になり、チャルメルソウの仲間の中では大きいのでこの名がある。

  花期は4月から5月ごろで、花茎の上部に小さな花を多数連ねる。花弁は5個で、羽状に細く5~9深裂し、萼裂片は平開して、1つ1つの花はクモの巣のような形に見える。紀伊半島、四国、九州に分布する日本の固有種で、襲速紀要素系の植物種群の分布域に当たる。大和(奈良県)でも南部を中心に見られが、個体数が少ないとしてレッドリストの希少種にあげられている。写真は左から長卵形の葉を有するオオチャルメルソウ、束生して花を咲かせるオオチャルメルソウ、花茎のアップ(西吉野町)。 雲の筋西高東低日本海