大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2016年12月15日 | 写詩・写歌・写俳

<1812> 余聞・余話 「鴨の季節」

        ゆく雲を映して水面冬の色 漂ふ鴨を散りばめながら

 師走も半ば、青垣山の紅葉(黄葉)も終わりに近く、温暖化とは言え、寒暖相まって徐々に冬の佇まいに向う今日このごろの大和平野ではある。奈良県立の馬見丘陵公園の溜池には冬の水鳥のカモの群がやって来て例年のにぎわいを見せている。先日出かけたら、幾種かが見られ、その中に初めてお目にかかるハシビロガモがいた。大きい嘴の持ち主で、一見してわかる。頻りに水中に頭を差し込んでエサを漁っていた。

 ここで少しく池の面に見える水鳥たちを紹介してみたいと思う。まずはマガモ。オスは首より上が瑠璃色で嘴が黄色の美しさを誇り、メスはカルガモに似て黄色い嘴が特徴で、警戒心が強く、人のいる場所に近づいて来ることはまずない。夫婦だろう。仲睦まじく泳ぐ姿が遠目に見られる。次にコガモ。カモの中では小さく、オスとメスが一緒のことが多く、オスの方が美しく、よくオスとメスが前後して泳いでいるのを見かける。コガモもオスとメスが一緒に泳ぎ回っているが、どちらかと言えば、警戒心が薄く、人のいるところにも近づいて来る。

          

 嘴の先が黄色いカルガモは人のいる場所に近づいて、ときに投げられるパン屑などをもらっている姿が見られる。ほかのカモと違って雑食性なのだろうか。いつも直ぐ近くで見られるので、幼い子供たちにも関心が持たれているようなところがある。この池でヒナを連れて泳ぐカルガモの光景に出会ったことはないので別の場所で産卵するのだろう。

  ハシビロガモは前述の通りで、いつも大きい嘴を水中に差し込みんで、頭隠して尻隠さずといったところ、忙しなく働いている様子がうかがえる。このハシビロガモとは正反対に、いつ見ても、池の真ん中辺りに陣取って羽根に頭を埋めて休眠しているのが、頭部の茶色いホシハジロや金色の目をした体が白黒のキンクロハジロである。いつ食事をするのかと思えるほど長い時間そうしている。言わば、これも冬の池面の一景ではある。

          

  ほかにはバンとオオバンが見られる。嘴の辺りが紅を引いたように赤いバンと嘴が白いオオバンはともに全体が黒色に近く、一目でそれとわかる。バンは留鳥で、嘴の部分が赤くない幼鳥も見受けられる。ヒドリガモとかヨシガモとかも飛来して来るが、先日は姿を見なかった。

  ところで、最近、また、鳥インフルエンザが流行り、地方によってはニワトリの大量処分がなされたというニュースも流れ、渡り鳥がその因ではないかと言われ、渡りの情趣に水を差す今冬ではある。 写真は上段左から冬の佇まいを見せる馬見丘陵公園の下池、カルガモ、オスのコガモ、メスのコガモ、ハシヒロガモ。 写真下段は泳ぐマガモのオスとメス、バン、オオバン、ホシハジロ、キンクロハジロ(頭を羽に埋めている)。