大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2016年10月26日 | 植物

<1762> 余聞・余話 「 ピンチに見舞われている曽爾高原のススキ 」

      竜胆の花そこここに曽爾の岡

  ススキの名所で知られる奈良県曽爾村の曽爾高原ではこの時期、ススキの銀白色の穂波が草原を埋め尽くすはずであるが、今年はその穂波が見られないピンチに陥っている。最も酷い場所はお亀池の北西一帯のススキ原で、ほとんど見られない異常な状態になっている。

                     

  開出している花穂は見られるが、完全に開かない間に衰え、銀白色の穂にならず、萎れて枯れたようになって、全体に生気がない感じがある。曽爾高原のススキは年々衰微しているため専門家も交え原因が探られているようであるが、はっきりしていないという。今年は出穂時期に天侯がすぐれず、雨の日が多かったのが起因したか。地元の関係者の話では、ススキは丈夫な植物だが、病気に罹っているのかも知れないという。

                                            

  ススキの下部の葉が病的な萎れ方をして枯れかかっているのが気になる。天侯の加減でこの現象に至ったのであれば、気象条件が普通になればもとのような銀白色の穂波が戻ることになるので、安心出来るが、原因が定かでないのは困った状況と言える。

                     

  高原の上部の方でもススキの少なくなっているところが見られるが、こちらの方は地中海沿岸地方原産の外来植物であるイネ科の多年草セイバンモロコシ?が大きい群落をつくり、ススキを圧している姿が見られ、これが原因ではないかと思われる。これはセイバンモロコシ?によるアレロパシ―(他感作用)かも知れない。特に斜面の広い範囲でセイバンモロコシ?が勢いを増しているのが見られる。とにかく、曽爾高原のススキ原は異常事態に陥っていると言ってよい。 

  写真上段は銀白色の穂波が見えない曽爾高原のススキ原(左・2016年10月26日撮影)と銀白色の穂波が美しい曽爾高原の左の写真と同じ場所(右・1996年10月10日撮影)。 写真中段は穂が出る前に枯れたススキ(左)と生気がないススキ(右)。写真下段は銀白色のススキの穂波が見られるところもある曽爾高原(左。亀山の斜面で)とセイバンモロコシ?の群落がススキの群落に入り込んでいる曽爾高原(亀山峠への遊歩道付近で、薄茶色に見えるのがセイバンモロコシ?の花穂群)。