大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2016年02月23日 | 祭り

<1516> 古 都 奈 良

           奈良は今 お水取りへと 日一日

 歴史に彩られた古都奈良というところは古社寺が多く、その昔から毎年巡り来る行事をそれぞれにこなしながらその営みを続けている一面が見受けられる。その行事というのは、各社寺それぞれ古式に則って行なうもので、行なう人たちは変わっても、「恒例」と言われるごとく、昔ながらの変わらない様式に従って行事は繰り返されている。これは新鮮味に欠けるところなきにしもあらずであるが、行事は伝統となって、一年の巡る季節を告げる風物詩のようにもなり、親しまれて今に至っているところがある。

                  

 奈良の冬から春への時季で言えば、師走に行なわれる春日若宮おん祭があり、正月を迎えてからは、若草山の山焼き、各社寺の節分祭、そして、春本番を前に、東大寺二月堂の修二会のお水取りがある。お水取りを見ても、毎年、同じことが行なわれるのであるが、同じことを繰り返すゆえに伝統が生まれ、この伝統を絶やさないことが営みの無事と持続を意味するところとなり、そして、その行事によって巡りの季節を私たちに感じさせるという具合になる。

 私たちにとって一年の巡りには気持ちの上のメリハリが大切で、その意味から言っても、毎年同じときに行なわれる恒例行事というのはその役割も担ってあると言える。古都奈良における古社寺の年中行事にはそうした一面があると言ってよい。「お水取りが終わると、奈良には春が訪れる」と言われるのも、私たちの気持ちにメリハリをつける意味があると思える。 写真は若草山の山焼き(左・多重露光による)とお水取りで、二月堂の廻廊を走る大松明の炎(右・長時間露光による)。