大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2015年11月12日 | 写詩・写歌・写俳

<1415> 干し柿事件

        柿日和 塔の眺めの のどかなり

 近所の家より頂いた柿を干し柿にしてカーポートの物干し竿に吊るして干していたところ、そろそろ食べられるかなと思うほど柔らかくなっていたものが数個、へたの部分を残してなくなった。どうもカラスにやられたようである。車が出た後に侵入したらしいく、紐のついたへただけが地面に落ち、近くにカラスが一羽いた。

  カラスは干し柿の実だけを持ち去り、他の場所で食ったとみえ、カーポートに食い散らした形跡はなかった。カラスとて種までは食わないだろう。カーポートで食ったのであれば、種が散らばっているはずであるが、荷づくり紐のついたへただけが地面に落ちていた(写真右)。へたの部分から実の部分を切り離して持ち去ったと考えられる。

 カーポートにはアクリルの半透明な屋根がついているので、上から見定めることは出来ないはずで、雨に濡れる心配もないと踏んで、妻がずっとそこに干していた。カラスはどうして気づいたのだろうか。近くにゴミ置き場があって収集日には防護の網を被せるので、余程のことがなければ、ネコやカラスに漁られることはない。これは住民の配慮が行き届いているからであるが、カラスはどこに塒を構えているのか、いつも二、三羽が電柱などに来て様子をうかがっている。多分、今回の件はその一羽に違いない。

                                 

  それにしても、どうやって見つけ出したのか。言ってみれば、これはカラスの能力によるところ、空巣を狙うとは全くの予想外で、カラスの知恵に妻も私も脱帽といった体である。折角、近所で頂いたものを口にしたのは惜しいかなカラスということになった次第である。

  実はこれには前段の話がある。というのは、近くに大きな渋柿の木が三本あって毎年沢山実をつけ、近所の人たちが取っていたが、高いところは取り切れず、いつもかなりの実が枝にぶらさがったまま熟柿になり、それをヒヨドリやムクドリなど数種の野鳥が来て分け合うという光景が見られた。その中にカラスもいた。

  ところが、今年、その柿の木が全部伐り倒された。野鳥たちには、この時期になると必ずありつけた熟柿の御馳走がなくなった。我が家で空巣を働いたカラスにも言える。言わば、カラスにはこういう食事情があった。これを私も妻も知っているので盗みを働いたカラスに多少の同情なきにしもあらずという気分で、外をうかがうと一羽のカラスが逃げて行った。苦笑の体で、残りは室内で干すことにした次第である(写真左)。以上、我が家の干し柿事件の顛末である。