温泉に入ろうと4時半ころ二人を誘って廊下に出ると、見覚えのある山酔会貸し切りのバスが道路を挟んだ向こう側の道の駅にすでに留まっている。
間もなく副会長のY氏からメールが入り、急いで身支度をして、支払いは昨晩のうちに済ませておいたので、鍵を返し宿を出るとY氏が迎えに来てくださっていた。バスのそばではにこやかに皆さんが迎えてくださる。道の駅で洗面などを済まされたようでよかった。
とても残念で申し訳ないことだが、今回の白山山行をすべて手配してくださったS会長がひざを痛めてドクターストップとなり参加できなくなってしまったのだ。山小屋バスの手配をしていただき、詳細案内からバスの座席表・皆で歌うたくさんの歌の歌詞まですべて印刷して、横浜出発時に見送りに来てくださったとのこと。K副会長やY副会長、幹事のS氏、他にも学生時代山岳部だった山男がいてくださるので私たちは心配はしていなかったが、やはり会長がいないということは副会長や幹事にはとても苦労の多い山行だったと思う。
幸いなことに会員のSさんの知人で福井在住のU氏が白山はたびたび登っているということで白山温泉から合流し、クロユリなどの群生地などを道案内してくださることになっていた。
今日の行程はバスで白山温泉(830m)まで上り、U氏と合流。白山温泉の旅館に頼んでおいた昼食のおにぎりを受け取り、さらに別当出会い登山口(1,230m)までバスで移動。29日30日と連泊する南竜山荘(2,080m)まで登る計画だ。参加者は男子15名、女子13名の合計28名。
バスは堰止湖の手取り湖を左に見ながら上っていき、百万貫岩を通り過ぎて白山温泉に到着。貸し切りバスのドライバー2人はこの温泉で我々の下山を待つことになるわけだ。 やがて別当出会い登山口に到着。
トイレを済ませM氏の音頭で体をストレッチしたあと 7時35分頃砂防新道を登山開始。
最初に長い吊り橋を渡ったがゆらゆらゆれてちょっと怖かった。
はじめは急登が続いたが 登山道は整備され登りやすい。さすが霊山でありまた花の山で多くの人々に愛されてきた山なのだ。 写真はいつもしんがりを引き受け、山で調理する用具や食材など を背負って 登ってくださる副会長のY氏。
9時35分見晴らしの良い別当覗(1,750m)に到着 。60代最後の記念山行という F氏と今回の白山山行の幹事として会計などに奮闘されていたS氏と記念撮影。今回はS会長が不参加なので詳細な報告ブログを作るため、時刻が記録される写真を多く撮るように努めた。
10時35分、甚之助避難小屋(1,960m)に到着。眺望が素晴らしい。Aさんが担いでくださっていたお茶道具を中飯場(1,500m)からはMさんが担いで登ってくださっていたのだが、ザックの上で左右にゆれて運びにくそうで申し訳なく思っていたところ、 Ya氏がロープで上手に固定してくださった。さすが学生時代山岳部だったY氏。右側が茶道具を背負ったたくましいMさん。左は 体のケアの名人Oさん。足が痙攣すると即対応してくださるお母さんだ。
黒い作務衣姿の若者の集団が登っていく。永平寺の修行僧だそうでさわやかな感じの若者たちだった。
もう一息と登っていくとMさんの足が痙攣してしまい、早速漢方薬の68番を差し上げる。それを飲んでOさんがふくらはぎをマッサージするとみるみる回復したようで68番の威力を実感した。皆さんには先に行っていただき、我々A班はゆっくり登ることにした。
南竜分岐で一休みするA班の面々。ちょうど12時だった。
ここからは高山植物のお花畑が広がっている。ハクサンフウロ・イブキトラノオ・シモツケソウ・キンポウゲなどなど。上を見ると青空をバックにお花畑が広がる清々しい風景に疲れも癒される。
角を曲がると少し下りとなり、南竜山荘が見えてきてほっとする。 遅い我々を心配して案内役のU氏と若手のK氏らが迎えに来てくださった。
K氏は最近入会して以来いつも手作りのパンを焼いてきてくださる若い男性。今回は異なる3種類のパンを一人分ずつパッケージして、バスに乗り込んだ時に手渡ししてくださり感激! 素晴らしい仲間に支えられている山酔会なのだ。
やがて南竜山荘に到着。山酔会に割り当てられたのはさらに下って雪渓脇を登った南竜ヶ馬場のキャンプ地のその奥にあるケビンだ。いわゆる山小屋ではなく一つの建物の中に壁を隔てて二つの入り口と部屋があり、それぞれ5人ずつ泊まれる洒落たケビンだ。板敷だが四角い畳を敷くと畳の部屋に早変わり。ここに4人ずつ泊まれることになった。プライバシーが保たれとても有難い。難点は水洗トイレが10分ほど歩いて山荘までいかないといけないことだったが、水道と流しを備えた炊事場はあり、山酔会のいつもの宴会には格好の場所だった。
炊事場近くの屋外の木のテーブルで2時から昼食、4時から南竜山荘のビジターセンターで野点の準備をして4時半から皆さんにふるまうことに決まった。
いつものようにキムチうどんやラーメンを作っていただいて楽しい昼食が始まった。K氏が担いできた3Lの赤ワインやU氏が差し入れしてくださった福井のワインや地酒もふるまわれて昼間から楽しい宴になった。
少し休憩した後、4時に野点の道具やお菓子・抹茶などを持ってビジターセンターに向かうと、外の木のテーブルと椅子ですでに仲間がお湯を沸かしてくださっていた。ここは西日が当たって暑い!思い切ってビジターセンターのスタッフに、中のテーブルで野点をできないかお願いしてみると快く了解してくださり、お湯を沸かすのも中でしてよいとのこと。奥の壁際に水洗い場もある 。白山は水が豊富で心置きなく水を使えたのもとても有難かった。
早速、Aさんと一緒に野点を開始。後ろのテーブルではj.Iさんがオカリナを演奏してくださっていた。
小屋のスタッフ二人と仲間全員に野点を楽しんでいただけたと思う。
高山植物などの解説のボランティアをしておられる自然解説員お二人にもK氏がお客にお誘いすると「こんな山の中でお抹茶がいただけるなんて」ととても喜んでくださった。
終わるとちょうど5時半で夕食の時間。夕食後6時半から先ほどの自然解説員による解説があるというのでビジターセンターの2階の小ホールに集まる。DVDの映像を見ながら白山の成り立ちや高山植物の説明などをうかがった。女性の自然解説員による篠笛の演奏もあり楽しかった。最後に一緒に記念撮影。
ケビンに帰りしばらく休憩した後、夜空を見上げると空いっぱいに星が広がっていた。山際にさそり座、後ろの天空に北斗七星が瞬いている。
明日はアルプス展望台でご来光を迎えるため小屋を3時半に出発するので、20時前に就寝した。