詩;『出発さ』

「出発さ」

さあ、どこかへ行こうか。
こんなところで
グズグズしていたら
時などすぐに
経ってしまうから、
さっさと旅立つに限る。

いつものように
出たつもりだったが
どうも
うまくいかない。
遅かったかな、
それとも道を間違えたか。
まあ、ともかく
進んでみよう。
もう引き返せないから
新しい場所を
見つけるしかない。

風が涼しいところへ出たね。
やたらと
風が吹くから
とんでもないと思ったけど
結構いけるじゃないか。

こんな断崖だと
危ないね。
あそこの洞穴みたいなところも
行かないほうがよさそう。
ほら、あそこに
川の流れが涼しげだね。

行ってみようよ、
そんなところに
突っ立ってないで
行ってみるのが一番さ。
川が汚いって、
そんなこと行ってみなきゃ。

静かに
座ってれば
そこかしこから
いい眺めが
流れてくるよ。
そっと
耳を澄ませてごらん。

さあ、
出発しよう。
どこへ行くか知らないが、
ともかく
こんなところで
グズグズしていても始まらない。