たった3日間で腰が大きく曲がり、顔が下を向いたままになってしまった80代の女性は、日ごろから体を動かすことがありませんでした。来院された3年ほど前は、エアロバイクを3分間、漕いだり、レッグエクステンションで大腿四頭筋を鍛える運動をしました。すぐに「しんどいから」と言って、当院で運動することがなくなりました。
それでも、近くのコンビニに買い物に行ったり、神社にお参りしたりしていました。うつ症状になると、自宅で寝たきりになり、夕方から起きてきて、同居の娘さんが買ってきた弁当や調理した料理を食べていました。
夕方まで寝ている生活ですから、夜は当然眠ることができません。道路に面したマンションですから、トラックや乗用車の音が気になり、目が覚めてしまいます。夜中に起きてうろうろするため、娘さんによく叱られていたといいます。
4泊5日の老人ホームから帰宅した翌日から2日間、体調がよかったので服の整理などに精出しましたが、これが娘さんの整理方法と違っていたため、せっかく畳んだ衣服を部屋中にまき散らされたそうです。「余計なことをせんといて」と叱責され、「うつで寝とった方がよかった」と言われたといいます。
女性は尿漏れの症状がありましたが、最近では便器に座る前に出てしまい、トイレを汚すことが何回かあったそうです。3日間の間にも「トイレ汚し」があり、えらく落ち込んだようです。こんな心理的要因も体の変化に現れたように、私には思えてなりません。