50代の男性が「先生、便もれをしたことがありますか」と真剣な顔で尋ねました。「お酒を飲みすぎて寝たとき、おならをしたら下痢便がもれたことがあります」と私は答えました。少量の便がはみ出し、パンツを汚しました。風呂場に行って、汚れたパンツを洗いましたが、すごく恥ずかしかったのを覚えています。
男性は「私は寝ていて、あっと気がついたら、結構な量をパンツにしていたのです。布団にまでもれ、妻があきれ顔で布団とパンツを洗ってくれました」と打ち明けました。
便もれ、医学用語では便失禁に悩む人は意外に多いようです。日用品大手のユニ・チャームが2月、20~79歳の男女2万人を対象にインターネットで「最近6か月以内に便もれを経験をしましたか」と調査しました。2割の3920人が「ある」と回答しました。男性が22.7%、女性は16.5%で、男性が上回りました。
どのような状況で便もれになったか、というと、急な便意で間に合わなかったり、おならをしたときに出てしまったり、というケースがほとんどでした。
便失禁には、自律神経がコントロールしている内肛門括約筋が緩んだため発症する漏出性便失禁、自分の意思で締めることができる外肛門括約筋が緩くなり、我慢できずにもれる切迫性便失禁、重いものを持ったり、せき・くしゃみをしたときに起こる腹圧性便失禁があります。
男性や私の場合は、切迫性便失禁だったようです。便もれを防止する手立ては次回に。