団塊タケちゃんの施術日記

一人二人生の旅立ち

「人の弱みにつけこんだ商売をするな」

2019-01-10 10:25:08 | 社会・経済

京都は独自の技術開発でものづくり企業大手に育った会社が数多くあります。その一つで、分析・計測機器の総合メーカー、堀場製作所の堀場厚会長兼グループCEO(70)の話は、大企業に成長した営業の基本を聞いた感じがして興味深いものでした。

日本学術会議in京都の分科会「先端産業と科学・学術」のパネリストの堀場さんは、2015年にドイツの自動車会社フォルクスワーゲンが排気ガスの測定結果を意図的にごまかした問題を取り上げ、その不正を発表した研究所が使用したポータブル測定器が堀場製作所製と知ったとき、全世界の同社の営業担当に「このインシデント(事件)を販売に使ってはならない」と指示しました。測定器の優秀さを売り込むチャンスですが、フォルクスワーゲンの弱みにつけこんだ商売をしてはならないと命じたのです。

堀場さんによると、インシデントを使った販売を行うようでは「100年ビジネス」は実現できないといいます。こうした販売態度を貫いたことで、フォルクスワーゲンは排気ガスの分析・測定機器は堀場製作所の製品を採用しているそうです。

堀場製作所は、堀場さんの父、雅夫さん(故人)が1945年、創業し、電解コンデンサーを製造しました。1958年、米国視察団の一員として米国の先端企業を見て回り、人の呼気ガスを分析する機械をつくれば、病気の診断に役立つと考えて製造しました。ところが、全く売れませんでした。在庫の山ができ、経営難に陥りました。

そこに米国で自動車の排気ガスを厳しく規制するマスキー法が1965年に成立しました。呼気ガスから排気ガスに切り替えた分析機器は1万台以上売れる大ヒット製品となりました。世界シェアの80%に上り、堀場製作所の礎を築いたといいます。

 

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