かつて勤めていた会社から定期的に社内報が送られてきます。必ず目を通しているのがお悔やみ面です。先輩、同僚、後輩の訃報は知っておかなければならないからです。
最新号を読んでいたとき、思わず手が止まりました。74歳の旧友の男性の死因に老衰死とあったからです。「74歳で老衰で亡くなったの」。私には面識がない他本社の先輩でした。新聞の死亡欄は欠かさず見るようにしていますが、70代前半の老衰死は聞いたことがありません。
老衰死は、老化によって細胞や組織の能力が低下し、多臓器不全により恒常性の維持が困難になり、生命活動が終わることです。がん、心不全、脳卒中、肺炎などの疾患による死亡原因がわからない場合、医師は老衰死と判断するようです。多臓器不全を死因とするケースもありますが、高齢者の場合、老衰死といえそうです。
でも、厚労省の人口動態統計を調べてみて、驚きました。2017年に老衰で亡くなった60~64歳が男性13人、女性6人、65~69歳で男性111人、女性53人もあったと記載されていました。「70代どころか、60代も老衰で死亡しているのですか」
「神より与えられたタラント(能力)を全て使い果たしたならば、その人は死ぬのである」(内村鑑三)といわれますが、そうして亡くなるならば良し、としなければならないのかもしれません。老衰で亡くなるのは、脳は炎症や萎縮により機能が低下し、苦痛を感じることはないといいます。