歯の神経細胞が炎症を起こす歯髄炎には急性と慢性があります。急性歯髄炎は激しい痛みが伴います。原因は虫歯が進行してそこから菌が侵入して発症したり、歯が割れたりしたとき起こります。私はサケの骨を噛んだとき、右上の4番目の歯が割れ、急性歯髄炎になりました。痛くてものが噛めなくなり、神経を抜く脱髄の処置を受けました。欠けた部分はセラミックで補いました。
今回の上の左の前歯の歯髄炎は激しい痛みはないので、慢性のようです。酢豚を噛んだとき、痛みが走り、歯肉炎が起こったと思いましたが、すでに慢性歯髄炎を発症していて、そのため、歯肉が痛くなったようです。
慢性も虫歯や歯の割れが引き金になりますが、私の前歯は虫歯も割れもありません。硬いものを噛んだ物理的な刺激が原因になると知って驚きました。私はスルメや焼き肉のミノといった硬いものが好物です。長年、硬いものを噛み続けてきた結果、慢性歯髄炎を発症したようです。
歯髄炎は放置したままにすると、歯根がもろくなり、ひどい場合、歯が抜けてしまうといいます。早めに治療を受けて良かったと受け止めています。
前歯上部の浮腫は、歯髄炎で壊死した歯に起こる歯根のう胞とわかりました。歯の先端を通じて顎の骨に膿がたまり、炎症が強く、のう胞が大きくなると歯根の周りの顎の骨を溶かし、さらに歯根も溶かしてしまいます。
3DCTを撮ると、前歯の上の上あごの骨が溶け、歯根の先が少し溶けていました。初期だったので、歯根の洗浄、消毒する根管治療を続ければ、顎の骨は復活するとのことです。長い戦いになりそうです。
それにしても、ここ30年の歯科治療技術の発展には感謝しています。30数年前でしたら、歯髄炎でも抜歯する歯科医が多数派でした。その体験は次回に。