一日に2度も失神した80代の女性は、糖尿病の治療で、総合病院で長年診療を受けていたので、すぐにその病院の診察を受けました。受診するまで2日ほどあったのですが、その間、気を失うことも頭痛も胸痛もありませんでした。
かかりつけの医師の診察を受け、心電図をとりましたが、異常なしでした。医師は「1か月後に頭のCT検査を撮りましょう。もし、何か異常がありましたら、すぐに病院に来てください」と告げました。
その後、失神することはありませんでしたが、不安な気持ちは募る一方でした。道で倒れたりしたら、電車内で気を失ったりしたら、と考えると、外出もできません。買い物は娘さんに頼んだといいます。
1ヶ月後のCT検査。結果は「異状なし」でした。少しほっとしたのか、同年代より若く見られることから「脳は若いですか」と質問の声が出ました。医師は「年相応です」と答えました。加齢による萎縮の症状はあったようで、少しがっくりしたそうです。
心原性でも脳血管性でも、反射性の失神でもないようです。起立性低血圧によるものでもないようです。寒いところから暖かいレストランに入ったところで一回目の失神が起こっていることから、ヒートショックによる失神だった可能性が出てきました。
寒い脱衣室から温かい風呂に入るなど、血圧や脈拍の急変動から生じるヒートショックによる関連死は年間、約1万7000人に上ります。めまいや失神も発症します。
女性には「寒いところに行くときは、帽子、スカーフを着用したらどうですか」と勧めました。一方、不安な気持ちに関しては「残念ながら、慣れるしかありません。月日が解決するのを待ちましょう」と伝えることしかできませんでした。