団塊タケちゃんの施術日記

一人二人生の旅立ち

優しい嫁が寝たきりをつくる

2015-03-09 09:57:28 | 健康・病気

90歳になったおばあさんが手押し車を押してデーサービスの軽ワゴン車に向かっています。男性のヘルパーさんの手助けを受けて、車に乗りました。4年ほど前までは、腰が30度くらい曲がっていましたが、今では90度にもなり、よちよち歩きも目に見えて遅くなりました。

夫は10年ほど前に亡くなり、マンションに一人暮らしをしていますが、近くに住む長男の嫁さんが食事などの世話をしています。おばあさんは、洋服仕立て業の夫とともに店を切り盛りしていました。最盛期には、洋服職人8人を抱えて高級紳士服を縫製し、お得意さんには関西の経済人の名前が並ぶ有名店だったそうです。自らも和裁、洋裁の針仕事が好きでしたが、店の仕事には手を出さず、食事の世話など裏方に徹していたといいます。

炊事、洗たく、掃除などの家事も苦になりませんでしたが、加齢に伴う足腰の衰えが目立ってきたため、嫁さんの世話を受けるようになりました。

嫁さんは、おばあさんに「据え膳、上げ膳」の生活をしてもらうことが義母への孝行と考えるタイプでした。火事の心配があるといってガスの供給は止めて使用できないようにしました。食事は自宅で調理して、決まった時間に届けます。「料理だって、洗たくだって、掃除だって、時間をかければ、私はできるのに」とおばあさんは言いますが、嫁さんは聞き入れてくれません。

おばあさんのできることがどんどん減り、体も弱っていきました。「優しい嫁が寝たきりをつくる」です。おばあさんも考えた末のことでしょう、週1回のデーサービスが最近、2回に増えました。デーサービスでしっかり体を動かしてください、との思いを込めて、車に乗ったおばあさんに手を振っています。

コメント
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