団塊タケちゃんの施術日記

一人二人生の旅立ち

「自分で治す方法を教えたら商売にならへん」

2013-04-18 09:57:09 | 健康・病気

お弁当屋のご主人が「右手の親指が痛い」と来られました。見ますと、親指を開こうとすると、カクンとばねをつけたように広がります。親指の使い過ぎから生じるばね指です。ご主人は60代前半で、数十年、包丁で野菜や肉を切り、ご飯を炊き、フライパンで鶏肉のから揚げを調理したりしています。

ばね指は腱が腱を支える腱鞘との間でこすれて炎症を起こす病気です。腱の炎症がひどくなって肥大化すると、腱が腱鞘の間をスムーズに動かなくなり、無理して動かすとばねのように飛びはねます。

人間の指は、ものをつかむ屈曲する筋肉が丈夫にできており、腱の通りもよいので、指を広げる伸展するときにばねのようにはねます。炎症がひどくなると、腱鞘の一部を切って腱の通りを良くする手術が行われます。お弁当屋さんの奥さんは、ばね指がひどくなり、この手術を受けたといいます。

ホットパックで温め、低周波治療器をあてた後、周辺の筋肉を緩めると「だいぶ楽になった」と話しました。奥さんほど症状はひどくないと判断し、お風呂で筋肉を温めた段階で、両手をぐっと握ってからぱっと開く「グーパー体操」を10回続けてください、と言いました。そして「他の患者さんのケースからみて、遅くても3か月続けると、痛みが消えますよ」と伝えました。ご主人の反応は「自分で治す方法を教えたら、商売にならへん」でした。できるだけ長く通ってもらうのが整骨院の商売のやり方というわけです。ご主人は翌日から来院されませんでした。

そば屋のご主人は「右腕が痛くて上がらない」と来られました。徒手検査や肩の筋肉の状況などから、加齢に伴い肩の筋肉・腱が硬くなり、肩関節の動きが悪くなる六十肩と評価しました。施療した後、ペットボトルを痛い方の手に持って、肩が痛くない範囲で前後に腕を振る「ペットボトル体操」と、壁に痛い方の腕を上げられる高さにかけて膝を少し曲げる「コノリー体操」を指導しました。ご主人の反応も「自分で治す方法を教えたら、商売にならへん」でした。

お弁当屋のご主人に1か月ほどした後、道で会いましたら「おかげさまで痛みがなくなり、ばね指の症状は消えました」と喜んでいました。

タケちゃんは、どうやら「商売人」には向いていないようです。経営的には赤字続きで、患者さんの中には「先生は道楽仕事ですから」という人までおります。仕事が道楽ではいけないのは十分に承知しているのですが‥‥。

コメント
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