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EUは、政治理念は素晴らしいと思うが、経済的な最適規模を超えている。

2016年06月30日 | 経済

EUは、政治理念は素晴らしいと思うが、経済的な最適規模を
超えている。EUは、画一的な経済政策でコントロールできない


2016年6月30日 木曜日

日本が英EU離脱で緊急対応すべき4つの経済政策 6月30日 高橋洋一

?筆者は、この不透明感が今回のEU離脱問題では、経済に悪影響があると思っている。とりわけイギリスの中心産業である金融業での不透明感は半端ではない。金融業の単一パスポート(EU内共通免許)がなくなると、シティでの金融ビジネスは大きな魅力を失い、ひょっとするとドイツのフランクフルトに拠点を移す金融機関が出てくるだろう。この点は、リーマンショックの時に、金融機関経営が実体経済に悪影響を与えた時に似ているだろう。

?ただし、リーマンショックのように一気に問題が顕在化するというものではなく、不透明感が長期にわたって続き、ボディブローのように効いてくると思う。

?また、リーマンショックの時には、中国が財政支出をして世界経済の落ち込みを和らげてくれた。しかし、今回は、中国経済自体がリスクである。この点は、2015年8月27日付けの本コラム『「中国ショック」はリーマンショック級になる恐れあり』に詳しく書いたので、そちらを参照してほしい。

?さらに、今後の不透明な脱退交渉の過程の中で、EUの緊縮財政に反対する国、例えばスペイン、イタリア、ギリシャなどのさらなるEU離脱を誘発しかねない。ただですら、ポンドや株が売られ円高が進みかねない中で、そうした金融混乱が繰り返して起こるかもしれない。

連鎖反応して悪化する世界経済
悪影響はリーマン級とみて備えるべき

?イギリス経済とアメリカ経済は、シンクロ度が高い。シティで起こった話はアメリカのウォール街に波及して、米英の実体経済に悪影響することもありえる。そこで、過去のイギリス、アメリカ、日本、世界経済の成長率を見ると、かなりシンクロしている。

?イギリスEU離脱は、連鎖反応を起こし、アメリカ経済、日本経済、そして、世界経済を悪くする可能性がある。その「二の舞」を避けるためには、影響度はリーマンショック級とみて、備えておくほうがいい。世界経済は密接につながっている以上、日本も影響を被るというからだ。

?これはまさに危機管理である。危機管理では、甘い前提や希望的観測を排除する必要がある。

?イギリスのEU離脱問題はリーマンショック級の経済危機になる可能性がある以上、2017年度からの消費増税の見送りは日本にとっては正解だった。その判断の前提で、安倍首相はひょっとしたらリーマンショック級のことが世界に起こりうるリスクがあると発言し、(サミット文書にもイギリスのEU離脱が世界経済のリスクと書かれているのだが)その当時はさんざん非難された。ただ、結果として慧眼判断であった。もし消費増税を決めた後で、イギリスがEU離脱になったら目も当てられないことになっていたはずだ。

筆書の考える危機対応策
まず消費税は凍結にすべき

?というものの、これだけでは十分でない。筆者の考える危機対応策は次の通りである。

(1)消費増税は延期ではなく、凍結にすべき
(2)日銀の政策決定会合を臨時で開催して、量的緩和30兆円増
(3)参院選後の補正予算で、財政支出 60兆円(20兆円×3年)。財源は、埋蔵金、財投債、国債。支出対象はインフラ整備、減税+給付金
(4)事実上無制限の為替介入。そのために、今の介入枠を参院選後の補正予算で引き上げ

?(1)と(2)、(1)と(3)はセット。前者がヘリコプターマネー、後者は非不胎化介入となって効果がある。

?これらの手法は、基本的には3月24日付け本コラム「増税スキップ・景気対策・追加緩和で日本経済は盤石になる」で書いた話と同じである。

?こんな額は必要ないという人が必ずいるが、これらはほぼすべて予算枠である。必要なければ予算不用にすればいいだけだ。つまり弾を込めて引き金に手をかけるだけで、実際に撃つのは別であり、あくまで準備するだけだ。

?また、為替介入は米国の許しがないとできないという人もいるが、これは日本の主権の問題である。もし協議しても、日本だけの猛烈な円高を防ぐというのなら理解も得られるだろう。日本単独では効果が薄いのは事実であるが、日銀の追加量的緩和と同時であれば、いわゆる非不胎化介入なのでかなり効果がある。

?当然ながら、「財政再建が心配」という人もいるだろう。しかし、それは火事場での放水による消火活動によって「家具が水に濡れてはまずい」と同じ意見だ。とにかく、経済を良くすることが先決である。

?どうしても財政再建が気になるというのであれば、発行分が基礎的財政収支の赤字にカウントされない財投債を活用すればいい。財投債については、2月25日付けの本コラム「マイナス金利は心配無用 国民も政府もメリットのほうが大きい」を参照していただきたい。

EUは経済的な最適規模を超えている
将来的にはイギリス経済は成長する!?

?イギリスがEUから離脱する数年間は摩擦的なコストがかかり、そのために不況になる可能性があると思っている。ただし、その摩擦的な期間を過ぎれば、ひょっとしたらイギリスは立派に経済成長するかもしれない。

?というのも、EUに加盟していないスイスやノルウェーの経済は必ずしも悪いというわけでない。加えて、筆者は統一の中で多様性を認めるEUは、その政治理念は素晴らしいと思うが、経済的な最適規模を超えていると感じている。多様な国家を画一的な経済政策でコントロールすることはできないからだ。この点について、25ヵ国で構成されているユーロ圏でも最適規模を超えていると論じた2011年10月20日付けの本コラム「ギリシャはデフォルト(債務不履行)常習国?歴史と最適通貨圏理論で解く問題の本質」をご覧いただきたい。

?そもそもイギリスは、ユーロ圏ではなく独自通貨を持ち、国境検査なしで国境を越えることを許可するシェンゲン協定にも加入していない、「いいとこ取りの国」であった。いわばEU内では恵まれた「特権国家」であったが、それでも移民問題などでEU離脱となったのが現実だ

?イギリスの遠い将来はいいかもしれないが、当面は経済混乱が続くだろう。それに対し、日本は、リーマンショックの時に「蜂に刺されたようなもの」と言って、無為無策の状態であった。今回はその愚を繰り返してはならず、備えなければいけない。



(私のコメント)

EUやユーロについては、ギリシャ問題が顕在化した時点で失敗は明らかであり、ドイツはギリシャを救うつもりがない。ユーロはドイツにとっては明らかに有利であり、日本が円高に苦しんでいるのにドイツはユーロで決済が出来る。ギリシャはドラクマに戻って通貨の切り下げで対応しなければ解決は無理だ。

日本のバカな財務省の役人は、消費税率を引き上げろと言っていたが、引き上げていたらえらい事になっていた。その点では安倍総理はついているのであり、政治家は「幸運」を持っていなければならない。「不運」な政治家だとどんなに有能な政治家でも国家を破綻にもたらす。

キャメロン首相は、有能でもついていない首相であり、パナマ文書でも暴露されて、それで辞任してもおかしくはなかった。国民投票も国民世論を読み間違えてしまったのは、上流階級のお坊ちゃん政治家だからだろう。たしかにEUは経済的なメリットもあるが弊害もあり、柔軟な制度にして行かないと成り立たない。

ユーロと言う単一通貨制度も無理があり、ドイツとギリシャでは経済力が違いすぎる。フランスやイギリスもカネを出すばかりで、それは東欧などのインフラ整備に使われている。ギリシャなどはユーロで資金調達が出来るのでカネを使いすぎて財政破綻してしまった。逆にドイツなどでは資金需要が無くて金利が低下している。

同じユーロなのにECBは中央銀行と言えるだけの権限がない。いちいち各国の了解を得なければならずドイツの主導権が大きくなり問題がある。国家にも適正な規模があり、大きければ大きいほどいいわけではない。世界統一国家があり、警察力や防災力があれば戦争も無くなり、いいには違いないが理想論だ。

もし私が、貧しくて内乱が続くような国に生まれたら、豊かで平和な国に移民したいと誰もが思う。日本にしても戦後間もない頃はアメリカやブラジルなどへの移民国家であり、日本は貧しく戦争ばかりしている国だった。それが今では70年も平和が続いて豊かな国になった。

EUには、東欧や中近東などからの移民が多くなりましたが、イギリスのEU離脱の動きは、移民が多くなりすぎて住民に拒否反応が起きてしまった。これだけグローバル化が進めば、ビジネスや観光などでの人の往来は激しくなる一方であり、一つの世界がやってきたような感じすらもする。

移民排出国家だった日本も、アジアやその他の国から移民して来る人も多くなって来た。それだけ平和で豊かになったからですが、どの国も日本並みの平和で豊かになれば移民問題は無くなるが理想論だ。民族や宗教や文化や気候風土に至るまで様々な違いがあるから統一するのも難しい。EUは強引にやり過ぎたのだ。

EUに加盟した国にとっても、加盟すればドイツやイギリスやフランスのような国になれると思った。しかし政治は異なるし生活水準も違いすぎて移民が大量に発生するようになった。それに対して日本は大東亜共栄圏の失敗から、近隣諸国に対して経済援助や技術援助で生活水準を上げる事でアジア全体の経済発展を目指した。

そもそもEUは、アメリカや日本に対する対抗心からできた共同体であり、世界最大の合衆国になるつもりだった。中国にしても古代から見れば小国に分かれた状態が続いて、統一王朝が出来ても長くは続かず、現代の中国の原型はモンゴル帝国であり、モンゴル帝国は世界最初の世界帝国だった。

モンゴル帝国は、アジアからヨーロッパにまたがるユーラシア帝国であり、中国もロシアもイランもモンゴル帝国の末裔だ。それに対してイギリスは世界最初の海洋帝国であり、アメリカやカナダやオーストラリアはその末裔だ。だから同じヨーロッパでもイギリスと大陸のドイツやフランスとは政治も経済も異なる。


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