株式日記と経済展望

株式をはじめ政治経済外交文化歴史などの論評です。

アップル社がiPhoneに有機ELを搭載したスマホを開発すると発表したことで大騒ぎになっている

2015年11月30日 | 経済

アップル社がiPhoneに有機ELを搭載したスマホを開発する
と発表したことで多分、この業界では大騒ぎになっている


2015年11月30日 月曜日

液晶の次は液晶ではなかった? 11月28日 ヒロ

「液晶の次も液晶」とは経済語録集になりそうな響きですが、記憶が正しければシャープの経営が苦境に陥り始めたころ、液晶への一本足打法にこだわる同社が液晶事業への経営資源の継続投下姿勢を経営トップが述べたものだったと理解しています。

当時、世論では有機ELが液晶の次と騒がれ、事実、ソニーなどが小型の有機ELを開発して販売したものの技術が十分成熟せず、商用展開も目途が立たず、日本勢は半ば葬り去っていた技術であります。日経ですら、2013年2月には液晶技術の更なる深化で「液晶の次も液晶」という記事が出ています。当時、有機ELを本気で頑張っていたのは韓国のLGで同社だけが大型のテレビまで商用化にこぎつけています。先日、日本の大手家電販売店に行った際、湾曲した大型画面の有機ELの同社製テレビが鎮座しておりました。

確かに有機ELはまだまだ開発段階でいくつかの弱点があるとされています。寿命が短い(現在は数年とされます)はその一つのようで、事実、大型家電販売店で販売していた有機ELのテレビは画像が美しいと称されるのにスイッチがついていませんでした。画質が痛むから惜しんだのか、良すぎて液晶と差が出過ぎてしまうのか勝手な推測をしてしまいそうです。

ところが世の中にはある風が吹くと突然その方向が変わることがあります。

今週、アップル社がiPhoneに有機ELを搭載したスマホを開発すると発表したことで多分、この業界では大騒ぎになっていることかと思います。アップル社の意図はスマホのデザインにカーブを付けるなどの斬新さを打ち出せることがあったからだと思います。また、生産数は十分に確保できないため、韓国のLGも追加投資で大型工場を建設することを今週急きょ決めました。アップルの戦略はその生産量が少ない故にライバルのサムスンをはじめとするスマホメーカーに有機ELの供給が実質出来ない状態にしてアップル社がデザインの独占をすることではないかと考えています。

これに慌てているのが日本側であります。ジャパンディスプレーは研究は継続していたようですので2018年頃を目途に商用化とアップル社への販売を目論むと報道されています。「液晶の次も液晶」のシャープも対応を迫られているようです。

この一連の流れをみていると市場を決めるのは最終財を販売する企業であり、その企業がデファクトスタンダードを形成すれば圧倒的強みを利用してゲームチェンジャーになるということでしょう。仮に日本側が数年のうちに有機ELの商用化と妥当な価格での販売が実現できるようになったとすればこの5年ぐらいの足踏みは何だったのか、ということになります。

言い換えれば研究する側からすれば液晶の深堀に市場はある、と判断し、究極の選択をしたもののアップル社というとてつもなく大きな影響を与える会社のたった一つの決定が世の動きをひっくり返した、ともいえます。

これをもう少し大所高所的に見ればジャパンスタンダード、要はガラパゴスはリスクと背中合わせとも言えましょう。個人的には日本の技術の突き詰めるスタンスは非常に重要で今後も継続せねばならないと信じておりますが、マーケティングが弱いことを如実に表しているような気がします。技術者に何を開発してもらわねばならないのか、その目標が不明瞭で各社が五月雨式に次々と新しい技術を発表し、結果として多くの優れた技術がお蔵入りしている点ではないでしょうか?

先日、日経ビジネスに長く売れる商品の特集があったのですが、多くの企業は年間に何百という商品を世に送り出し、その大半は短命で終わっているという事実に接した時、もう少し効率的な開発方法はないものかと改めて考えさせられました。まるでやみくもに売りまくり、そのうち何%でも当たればOK,ぐらいの感覚にすら感じてしまいます。

日本の研究開発とマーケティングのあり方について一考を投じた有機ELの話題でありました。


(私のコメント)

テレビドラマの「下町ロケット」は日本の技術開発魂をドラマ化したものですが、そのドラマが小説やテレビドラマになるというのは、技術開発魂が失われているからだと言う警告でもあるのだろう。特に日本の電気産業ではリストラの嵐であり、技術開発の打ち切りで技術者の首が切られている。

経営者にしてみれば技術開発は金食い虫であり、開発は断念してコストダウンに専念したほうが業績は上がる。しかし数年も経てばそのつけが回って来て新製品が出せなくなり、業績は再悪化してさらなるリストラに陥ってやがては倒産にまで行ってしまう。

テレビは日本の家電産業の稼ぎ頭だったのですが、液晶技術が韓国や台湾などに供与されて行って、液晶テレビは価格競争に陥ってしまって、国内のテレビ工場は軒並み閉鎖されて中国などに生産拠点を移してしまった。世界ではサムスンやLGなどの韓国製の液晶テレビが溢れるようになった。

製品面でも差別化も無くなり、日本製に優位性は無くなってしまった。次世代テレビとしては有機ELが有望視されていましたが、ソニーなどのメーカーは早々に有機ELテレビの開発を打ち切ってしまった。打ち切った理由としては需要が見込めないという事ですが、「下町ロケット」とは逆の展開が行われている。

有機ELの問題点としては、寿命が短い事と製造の歩留まりが悪いことがあげられますが、それらを改善して商品化する事は日本の得意技だったはずだ。しかし有機ELを韓国のLGは開発を続けていた。そしてアップルのアイフォーンに有機ELを採用するニュースが流れて状況が一変した。

有機ELは発熱も少なく省電力でバックライトが必要なく薄く作れて局面ディスプレイも出来ます。日本のメーカーは商品化は難しいとして開発を止めてしまいましたが、韓国のサムスンやLGは開発を続けて大型テレビやスマホなどで実用化に成功した。

パナソニックなどはLGから有機ELパネルを調達してテレビを発売するようです。いったい「下町ロケット」のような技術者魂は何処に行ってしまったのでしょうか。失われかけているからテレビドラマとしても共感を浴びているのでしょう。

韓国のLGでは折り畳みのできるディスプレイの開発に成功して特許も取っているそうです。私などはパソコンのディスプレイを三台で三面使っていますが、使わない時は折りたたんでおいて使う時は広げて超ワイドディスプレイなら画面の切れ目も無く便利に使える。

日本のメーカーが有機ELの開発を早々と止めてしまったのは貧すれば鈍するの例えの通りなのだろう。開発を続けてもコスト高で売れないと見たからだろう。しかし有機ELにしか出来ない特徴があり差別化は可能だった。有機EL照明なども考えられていますが、LEDでは点でしか発光が出来ないが有機ELでは面として発光が出来る。

将来は、二つ折りのスマホが発売されるようになるだろう。二つ折りと言ってもガラケーのような二つ折りではなく、大型画面を二つに折る形でありアイフォーン8は二つ折りになるかも知れない。もはや日本は韓国メーカーから有機ELを輸入して作らなければならない時代が来ている。

シャープの液晶はもはや時代遅れであり、バックライトを使う限り省電力で有機ELに敵わない。スマホやタブレットなどでも電池の持ちが違うから有機ELに切り替わって行くだろう。その頃には国産の携帯電話メーカーは無くなっているかもしれない。国内の電機メーカはやる気を失ってしまっているように見える。


コメント (9)