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人民元の国際通貨化で党による市場コントロールは終焉するばかりか、1党支配体制そのものが終わる

2015年01月31日 | 経済

人民元の国際通貨化で党による市場コントロールは終焉するばかりか、
1党支配体制そのものが民主化へと変革を余儀なくされるだろう。


2015年1月31日 土曜日

人民元帝国(下)ドル、ユーロに次ぐ国際通貨人民元という虚構 1月30日 田村秀男

 上述したように、人民元はドルの裏付けでここまで膨張できた。熱銭などを通じてドルが流入しなければ、人民元の供給はできない。米量的緩和終了に伴って、世界からはドルが米金融市場にUターンする局面だ。その制約を突破するために人民元国際化のはずだが、国際化を支えるだけの本土の通貨・金融制度が整備されていない。
 
 このまま国際的に人民元の流通量が拡大すれば、何が起きるだろうか。人民元決済額が膨らむにつれて、人民元は勢い本土外の国際金融市場に蓄積されてくる。海外にある人民元マネーが大きく増えると、人民元建ての債券など金融資産取引市場の創設ニーズが高まる。海外投資家の参入を制限している上海市場も国外の投資ファンドなどに株や債券取引の自由化を迫られる。他方で、ロンドン、フランクフルトなどの人民元決済市場では人民元建ての証券市場が出現し、巨額の人民元資金取引が行われることになり、投機が盛んになる。おのずと、国際金融市場の波乱要因になってくる。
 
 もともと国際金融市場での外国為替取引の大半は証券投資、直接投資、融資などの「資本取引」が大半で、貿易決済関連を圧倒している。
 
 人民元関連の資本取引が円滑に行われるためには、人民元の相場を需給関係によって自由に決める、つまり変動相場制に移行させざるをえなくなる。現在の管理変動相場制度は中国系の金融機関に入ってくる外貨を人民銀行が管理する交換レートで全面的に買い上げる仕組みになっているが、資本取引を自由化すれば、外貨買い上げ額が巨大化しすぎて、人民銀行の手に負えなくなるからだ。金融機関同士で自由に外国為替を商いさせる、日米欧などでは当たり前の自由変動相場制が不可避になる。つまり、人民元を無理なく国際化させるためには、自由な資本取引と自由な外為市場が欠かせない。熱銭にしても、資本取引規制のおかげでこの程度の規模に済んでいるが、自由な資本取引が合法化すれば、外国の投機的な投資ファンドも加わって数倍、数十倍には膨れ上がるだろう。
 
 まさに、マルクス主義で言う「量的変化が質的転換を促す」ことになるのだが、中国は人民元の自由変動に耐えられるかどうか。
 
 人民元は1日当たり2%の変動幅の制限枠を飛び出し、大きく変動する。それは円をみてもわかるだろう。大きく買われると、大幅な元高となる半面で、逆に大量に売られると元は急落する。為替変動に対応するためには、金利決定を市場にまかせる金利の自由化が欠かせないから、現在のような硬直的な人民銀行の金融政策を含めた金融システムも抜本的な改革が必要になる。
 
 中国経済はドルに対して人為的に安定させてきた人民元によって成り立ってきた。しかし、急速な元高に遭遇した中国企業は一挙に競争力を失う。農家は安い輸入品に押される。逆に元安が進行すれば、物価が高騰し、市民の不満を高めるだろう。1989年の天安門事件の経済的背景は高インフレだった。もちろん、通貨変動ショックは日本では当たり前だが、政情不安にならないための政治システムがある。民主主義である。無論、中国にはそれがない。人民元の国際通貨化で党による市場コントロールは終焉するばかりか、1党支配体制そのものが民主化へと変革を余儀なくされるだろう。それは中国人民と世界のためになる。
 
 以上見ると、「人民元帝国」に対する日本の戦略はシンプルだ。まず、IMFでのSDR構成通貨見直しに際し、人民元組み入れの条件として、人民元関連資本取引の自由化と人民元の自由変動相場制への移行を義務づけることだ。欧州は難色を示すだろうし、対中関係で譲歩しがちなオバマ現政権はどうかわからないが、議会では民主党の一部と共和党の多数が日本に同調するだろう。
 
 日本の財務官僚は、IMFでひたすら日本の消費税増税支持の根回しするのではなく、まともな通貨戦略に向けた対米工作に奔走すべきだと考える。そのために残された時間はあまりない。



(私のコメント)

ユーロがギリシャの選挙で金融緩和を主張する政党の勝利でユーロが揺れていますが、ユーロ以上の心配なのが中国の人民元だ。アメリカは人民元とのドルペッグを認めてきましたが、世界第二位の経済大国の通貨が自由化されていないというのも不自然でありますが、米中による経済同盟としての円高の長期化だった。

日本は去年の4月に大規模な金融緩和によって円安となり、FRBはQEを減少させていく事でドル高傾向にある。ユーロも大規模な金融緩和を決めた事で、ユーロ安になるだろう。米日欧が相次いで大規模な金融緩和をした事で、世界経済にどのような影響が現れるだろうか。

中国は資本の流入を制限しており、為替の変動幅も2%以内に制限している。人民元が国際化するのは当然の流れですが、今までのような規制が難しくなり、人民元の自由化に対応した体制が作られていなければならない。人民元はドルによって支えられた通貨であり、それが実質的な米中経済同盟を形成してきた。

日本は85年のプラザ合意で1ドル=240円から120円にまで一気に上昇した。普通ならば日本経済は破綻するはずでしたが、米中の思惑通りにはならなかった。それは日本は資本財の供給国であり日本でなければ作れないものを作って来たからだ。しかしテレビや造船やOA機器などの完成品は中国や韓国に市場を奪われてしまった。

中国の高度成長は欧米や日本などからの資本や技術供与によるものであり、自律的なものではない。人民元は自由化できないのもそこに問題があるからであり、自律的に経済発展してきたのなら、日本のように人民元が超元高になっても耐えられるはずだ。

世界第二位の経済大国だから人民元も自由化しなければ何処かに歪が出る。今までは流入してきたドルによって経済が拡大で来ましたが、アメリカ自身がQEを縮小する事でドルは流入から流出する方向になる。中国に投資してもらうためには資本の自由化が不可欠であり、今のままでは中国で儲けた利益を持ち出せないからだ。

中国がいくら人民元の国際化と言っても、資本の自由化が行われなければ無意味であり、投資するのはいいが持ち出しはダメよでは通らない。金利も政府や中央銀行で決めていては資本の流れも歪が出る。通貨が変動相場制になれば政府中央銀行が一手に買う事は無理になり、中国は変動相場制に移れない。

中国が変動相場制になれば、インフレや長期の不況にも見舞われる事になるが、中国の内政はそれに耐えられないだろう。今でも暴動事件が数万件も来ているような状況だからだ。日本は失われた20年を体験してきたが内乱状態になる事は無かった。しかし中国ではインフレが天安門事件の引き金になった。現在でもインフレ物価高に見舞われている。

最近ではユーロもギリシャが問題の発火点になりそうですが、スイスが為替介入を止めて40%もスイスフランが上昇した。世界の投資家は安全な通貨を求めて彷徨っていますが、投機筋はスイスフランで大火傷をした。ドルもユーロも円も紙幣のばら撒き合戦をしていて、これからどうなるのだろうか?


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