株式日記と経済展望

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2006年のサウジアラビアの石油生産は8%減産だった。

2007年05月11日 | 経済

2006年のサウジアラビアの石油生産は8%減産だった。「必死」
とも見えるようなボーリング作業を行っていながらの結果である。


2007年5月11日 金曜日

今日のニュース 5月10日 10秒で読む日経!

サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相は9日、今後10年間に わたり、天然ガスの埋蔵量を100兆立方フィート増やす計画を明らか にした。これにより、同国の天然ガスの埋蔵量は40%近く増加する 見通し。                  日本経済新聞 5月10日

   佐々木の視点・考え方       

★このニュースをそのまま受取れば、「ふーん」でおわる。増産の理由も、「世界的ガス需要の高まりに対応して」だから尚更。しかし、ホンネはどこにあるかを背景情報から探っていくと、このニュースは爆弾ニュースかもしれない。 

天然ガスの供給は、世界各国で積極的に開発されており、天然ガス埋蔵量が世界の第4位に過ぎないサウジがこの時点で積極的に競争に参入する意味はあまりない。お隣のカタールでも巨大ガス田開拓が進んではいる。 

しかし、彼ら中東勢にすれば、需要国までの輸送にパイプラインが使えないので、わざわざガスを液状化(LPG化かGTL化)して、タンカーで運ぶと言う大きなコストをかけなければいけない。利益面から考えれば、今はコスト面で安い原油を産出し、ガスの方はもっと価格が上昇してから増産するのが理にかなっている。にもかかわらず、サウジがガスを開拓するのは、裏があると見るのが自然だ。 

サウジの油田は産出を始めてから半世紀以上経ったものが多く いくらなんでもピーク産出は過ぎている事があるとみられる。サウジはOPECで最大の増産余力を持つと言ってきたが、ここ数年の原油価格高騰時にも余力を生かして増産することはなかった。これは、増産したくても出来ない事情があったと見るべき。  

そして、今年に入って、「2006年のサウジの原油産出量が8%の減少だった」というニュースまで入っている。日量5百万バレルと世界の6%を賄うサウジのガワール油田も噴出圧力を高めるための水注入が多くなり、原油の含水比率が増してきていると聞く。  

こうした背景情報を加味すると、このニュースはサウジの原油供給量の長期的な減少を示唆するとみるべきではないか。


黄昏のサウジアラビア? 4月17日 ty blog

サウジアラビアの石油生産能力は、すでにピークに近いのではないか。少なくとも、サウジアラビア政府関係者やサウジアラムコ社の社員が言うような形での増産能力はないだろう。という趣旨の内容で議論を巻き起こした本の日本語訳が出版された。

Matthew R. Simmons, Twilight in the Desert: the Coming Saudi Oil Shock and the World Economy, John Wiley & Sons, 2005(月沢季歌子訳『投資銀行家が見たサウジ石油の真実』日経BP社、2007年).

原書を持っていて、話題になった本だったので目を通してみたものの、技術的な内容も多く全部を熟読できてはいなかった。翻訳のおかげで、改めて読む機会に恵まれた。私には本書の内容を検証するだけの能力がない(能力のある人でも情報が極端に少ないようなので、専門家でもサウジアラビアのおかれている状況の細かい点は把握できていないようだ)が、本書の主張は説得力がある。そして、本書の懸念が現実のものとなったら、大変なことになるだろう。

などということを考えていたのだが、このことが現実のものとなりつつあるかのような兆候が既に現れてきたようだ。どうやら、2006年のサウジアラビアの石油生産は8%減産だったらしい。「必死」とも見えるようなボーリング作業を行っていながらの結果である。このことが意味することは重大である。なぜなら、サウジアラビア最大、というより世界最大のガワール油田(同国の石油生産の60%はこの油田に頼っている)がピークを迎えたというサインだと解釈されるためである。

"Saudi Arabian oil declines 8% in 2006"

上で紹介した本の翻訳には「解説」がついていて、どちらかというと本の内容に懐疑的な論調になっている。例えば、「たとえ仮に、同国の生産能力が近い将来減退するという本書の基本的な主張が誤りであったとしても、・・・」(549頁)という記述もある。その後で、シモンズへの反論がいろいろと紹介されている。「バランス」をとろうとした結果なのかもしれないが、本書を読み、この解説を読むと、この問題に詳しくない多くの日本の読者は「解説」の主張に引っ張られそうな気がする。

ところが、「たとえ仮に、同国の生産能力が近い将来減退するという・・・」という話が、「たとえ話」ではなくなってきている。2006年の減産は、一時的なものなのか、それともピークを迎えたことのサインなのか。サウジアラビアの石油生産をめぐる一連の論争の決着がつきかけている、というところだろう(しかしながら、それはそれで、国際社会にとっては極めて大きな問題を生み出すことになる。世界は、もちろん日本も、その準備ができていない。困ったことだ。。。)。



(私のコメント)
連休中に安倍総理が中東五カ国を訪問してきましたが、異例の日本から二百名近い経済人をともなっての訪問だった。資源外交に日本の経済力や技術を生かすことは戦略的に重要ですが、日本だけでなくアメリカやEUやロシアや中国などの国々も、それぞれの国の命運は中東の石油がいかに確保できるかが課題だ。

「株式日記」ではアメリカの衰退は確定的であることを何度も述べてきましたが、アメリカの国内油田の生産ピークは1970年前後であり、その影響でニクソンショックなどが起きた。その頃まではアメリカは経常収支も黒字であり、石油がアメリカの産業を支えていた。

ところが3月23日の株式日記にも書いたように、アメリカの石油輸入割合はすでの60%を越えている。今のところドルで輸入できているから、基軸通貨の特権を生かしてドルを垂れ流して輸入していますが、中東の産油国がドルでは売らないと言い始めたらアメリカはパンクする。だからイラクに攻め込んで軍隊を15万人も送り込んだ。


米国への債権取立てのためには核武装は必要だ。もっと金を貸せと言うのなら、日本は米国を保障占領しなければいけない 3月23日 株式日記

《 アメリカは毎年100兆円もの海外からの借金で生活している。こんな生活がいつまでも続けられるわけは無い。おまけにイラク戦争で毎月1兆円もの軍事費を使っている。ブッシュ大統領の話ではイラクの駐留は長期化するという。このようなサラ金生活になっているアメリカに金を貸すには金利を高くするか担保をとらないと金は貸せない。

アメリカの時代はもうすぐ終わろうとしている。しばらくは過去の蓄積でやっていけるのでしょうが、アメリカの繁栄は19世紀半ばの巨大油田の発見からであり、その巨大油田は100年以上経って枯渇しようとしている。1960年代のアメリカはベトナム戦争を戦いながら人類を月に送るほどの国力があった。それはアメリカ国内石油の産出量のピークでもあったのだ。 》



アメリカは武力で中東の石油を確保しようとしていますが、結果的に自分で自分の首を絞めていることになる。イラク人にしたってアメリカに石油をやるものかと内心では皆思っている。イラクだけではなく中東の産油国はみなそう思っている。サウジアラビアも王族達の反米感情も高まり、親米派は9・11テロの影響などで主導権を失いつつある。

サウジアラビアは石油増産余力を持つ唯一の国といっていいほどなのですが、サウジは石油の高騰には歯止めをかけてきた。しかし石油価格の高止まりは続いている。そして2006年には8%も減産しているのですが、サウジは石油戦略を変えたのか、それとも増産したくとも出来ない状況なのか? はたしてどちらなのだろう。


石油大国サウジアラビアの反撃  2004年5月28日  田中 宇

《 サウジアラビアは、世界の産油国の中で唯一、膨大な石油の余剰生産力を持った国である。他の産油国の多くは生産能力いっぱいまで採油・輸出しているのに対し、サウジは大きな余力があるので、生産量を上下することで原油価格を操作できる。サウジは長らく中東きっての親米国だったので、原油価格が上がってくるとアメリカのために増産し、下がりすぎて他の産油国が困ると減産して原油相場を押し上げる、といった価格調整の役割を果たしててきた。サウジ王室は、アメリカや他の産油国から重視され、OPECの盟主としてふるまってきた。 》



どうやらty blogの記事によれば世界最大のガワール油田の生産量がピークを迎えたというのが事実であるようだ。中国やインドの高度成長経済は大量の石油をがぶ飲みしている。日本の高度成長経済は石油が1バレル2ドルという超安値だったから実現した。しかし現在は1バレル60ドルもしている。このような状況で人口15億人の中国と10億人のインドが高度成長して先進国の仲間入りは出来るのだろうか?

「株式日記」で書いてきたように石油に代わるエネルギー資源は無い。代替エネルギーといわれる物も、それを生産する為には石油エネルギーが必要なのだ。石油がなくなれば石炭があると言う意見もあるが、石炭も思ったほど埋蔵量は無くty blogによれば石炭ピークも2025年頃には到達してしまう。


石炭ピーク 4月9日 ty blog

石油がピークを迎えた後は、特に途上国の発電などで石炭がより多く使われるようになるのではないかと危惧されている。「危惧されている」のは、周知の通り、石炭の方が石油よりも二酸化炭素の排出量が多く、地球温暖化問題により大きな影響を与えると考えられているためだ(さらに、従来型の石炭利用だと、大気汚染も進む)。

しかし、最近になって、「石炭ピーク」に関する報告書やエッセイが発表されるようになった。Richard Heinbergによるエッセイとそのもとになった「Coal: Resources and Future Production」というタイトルの報告論文である。

衝撃的な内容だ。報告によると、「採掘可能な石炭は、現在一般的に考えられているよりもかなり少なく、世界の産出ピークは10年?15年以内に訪れるだろう」という。石炭ピークは、2025年頃だろうと述べられているのである。石油もピークを迎え、石炭もピークを迎えるということになれば、「原子力」という声はイヤでも高まるだろう。ところが、原子力にしても、ウランは有限な天然資源である。ウランピークも2050年頃だろうという話も聞いたことがある。大変な事態に直面しつつあると言わざるを得ない。

いつの時代もシステムの変更は大変な労力を伴う。特に、エネルギーシフトには相当の年月を要する。過去、最短のエネルギーシフトは木材から石炭へのシフトであったが、それでも約75年を要した。明らかに「有利」なシフトである石炭から石油へのシフトでも約100年かかっている。今直面しているのは、石油よりも「不利」なエネルギー源へのエネルギーシフトである。



(私のコメント)
古代の四大文明が滅んだのは木材というエネルギー源を伐採しつくして滅んだのですが、現代の石油エネルギー文明もオイルピークを迎えて衰退の道をたどるだろう。エネルギー消費超大国のアメリカは石油文明の象徴ですが、エネルギー事情から見れば古代の四大文明がたどった道を避けることは出来ない。


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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2007-05-11 18:31:33
ユダヤ財閥の工作員、江田島孔明。
彼が日本を動かしいてるのは確実だろう。

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