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習氏は軍事大国として米国に取って代わる決意をはっきり示したが、鄧小平の戦略をそう簡単に捨てるべきではなかった

2018年08月08日 | 外交

習氏は軍事大国として米国に取って代わる決意をはっきり示したが、鄧小平の
「才能を隠して時機を待つ」戦略をそう簡単に捨てるべきではなかった、という批判だ


2018年8月8日 水曜日

相次ぐ試練に疲労の色濃い習近平国家主席 米中貿易戦争から欠陥ワクチン事件まで、じわり高まる批判の声 8月8日 Financial Times 

中国の習近平国家主席は、近年の巧みな権力掌握に意図せぬ結果が伴ったことを思い知らされている。

 絶対的な権力には絶対的な責任が伴い、習氏が在任6年間で特に厳しい時期を迎えるなか、数々の問題を同氏のせいにするのが容易になっているのだ。

 習氏はこの数週間、急激にエスカレートする米中貿易戦争から、全国で数十万人の子供に影響を及ぼしたワクチンスキャンダルまで、様々な難題に見舞われてきた。

年間340億ドルにのぼる中国からの輸出品に懲罰的な関税をかけたうえに、別途2160億ドル分の中国製品も標的にすることをちらつかせるドナルド・トランプ米大統領の対策は、金融リスクを減らそうとする習氏の取り組みと重なり、経済成長の劇的な鈍化につながりかねないダブルパンチとなっている。

 これを受け、ささやき声の批判の合唱が起きている。

 習氏は国家主席1期目に地域最大の軍事大国として米国に取って代わる決意をはっきり示したが、鄧小平の「才能を隠して時機を待つ」戦略をそう簡単に捨てるべきではなかった、という批判だ。

 「今は習にとって、権力の座に就いて以来、最も厳しい時期だ」

 北京在住の歴史学者で中国共産党の批判派として知られる章立凡氏はこう語る。「国民は、船長が船を危険水域に導き、沈めてしまうことを危惧している」

 時折、65歳の習氏にかかる重圧が露わになるようにも見える。

 7月半ば、国家主席の公務をカバーする外国人記者団からのリポートは、習氏は「目に見えて疲れ」ており、世界銀行のジム・ヨン・キム総裁や国連教育科学文化機関(ユネスコ)のオードレ・アズレ事務局長との会談中には、時折混乱していたと指摘している。

 「習は明らかに疲労困憊していた」。AFP通信の記者、ベン・ドゥーリー氏はツイッターにこう投稿した。

 「キムとの会談中には、ずっとウトウトしていた」。ドゥーリー氏はその後さらに、「(習主席が)あれほど疲れているのは見たことがない」と書いている。

ユネスコのアズレ氏との会談では、習氏は同氏のことを、何度も世界貿易機関(WTO)事務局長と言い間違えた。この2件の会談は、普段は機敏で自分の信念を完全に掌握しているように見える指導者にしては、極めて珍しい出来事だった。

 行方に待ち受ける幾多の難題のために習氏の権力掌握が弱まっている証拠は見られず、中国政府は公式発表で、貿易戦争の戦略と経済展望の双方について自信があるように見える。

 トランプ氏が2日に打ち出した貿易に関する最新の脅しに対し、中国商務省は「中国の威厳と中国国民の利益を守る・・・準備が完全にできている」と述べている。

 TSロンバードの主席中国エコノミスト、ボー・ツァン氏は、「私の見るところ、習氏に対する組織的な動きや本格的な脅威は一切ない」と言う。

 だが、内輪の会合では、習氏の対米関係の扱い方について疑念を口にする中国当局者と識者が増えている。

 ツァン氏は、中国の下っ端の官僚の間では、「習氏があれほど公然と米国に逆らったのが正しかったのかどうか疑問視する人が増えている」と指摘する。

 中国の政府高官と頻繁に会うある米企業幹部によれば、今年5月に貿易戦争が本格的に始まって以来、政府高官は「自信と苛立ち、怒りと不安が入り混じった気持ちを表しており、どの時点を取っても、いずれかの感情がその他の感情に勝っている」という。

 この幹部はさらに、「彼らはトランプに苛立ちを覚えており、トランプの要点が何なのか確信を持てずにいる」とつけ加えた。

中国では、社会的な不満も表面化しつつある。欠陥ワクチン事件については、政府の対応に対する最も露骨な批判は李克強首相に向けられた(そうした批判はすぐに、検閲によって削除されている)。

 だが、あるメディアが報道で、習氏も危機に「真剣に対処」するよう当局者に支持したと指摘したとき、オンラインに投稿された皮肉なコメントには、「政府はもはや、国民に信用されていない」という意見も含まれていた。

 ほかのソーシャルメディアのユーザーは最近、中国共産党への不満を表明するために、2016年に制作された愛国的な革命劇「湘江から遵義へ」の短い場面を流した。

 ある動画では、役者が「党はまだ国民への約束を覚えているのだろうか」と問いかけ、大きな喝采を浴びる。

 一つ、変わっていないことは、習体制の下では、たとえさり気なくても政権に嫌味を言ったり、政策について妥当な疑問を投げかけたりすることがいかに危険か、ということだ。

 8月1日、米政府系放送局「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」のテレビ生放送で、劇的な展開があった。

 中国東部の済南市から電話でゲスト出演していた元教授が、中国の海外援助予算は国内に回すべきだと主張し、習氏の対外投資政策への疑念を表明していたところ、警察が突如、自宅へ押し込んできたのだ。

電話回線が切れる前に、孫文広氏は番組の司会者に向かって「うちの玄関を壊すために警官が6人送り込まれてきた」と言った。

 今回、孫氏にコメントを求めようとしたが、連絡がつかなかった。



(私のコメント)

独裁国家が、近代的先進国となれないのは明らかであり、情報化社会とも相容れない体制であり、開発独裁国家の段階なら上手く行くが、先進国にはなれない。韓国にしても経済的には先進国だが、先進国とはなりきれないのは、政治的にも文化的にも安定した民主主義体制になりきれていない。

アメリカでトランプ大統領になってからの対中政策の変化は、驚く程の変化であり、オバマ大統領の頃の対中政策とは180度変わってしまった。中国はトランプ大統領の出方を慎重に見るべきでしたが、当初はトランプ政権にも対中融和派が多くいたから油断したのだろう。

しかしトランプ大統領は、対中融和派を次々クビにして対中強硬派で固めてしまった。そのへんが普通の大統領とは違うところであり、トランプは国務省すら信用していない。国務省は親中派の牙城であり、中国のスパイがゴロゴロいるところだ。アメリカのマスコミにも中国のスパイがたくさんいて、対策は万全だったはずだ。

だからトランプ大統領は、国務省やマスコミとは緊張関係にありますが、本来はこの二つを抑えておけば外交はどうにでもなったはずだ。日本でも同じような構造であり、朝日や毎日といった新聞は中国の意向にそった記事を書き続けている。だから中国にとってまずい記事は報道されない。

中国外交の非常にマズい点は、南シナ海の領土問題であり、対外膨張政策はアメリカを非常に警戒させるものだ。オバマ大統領の時は戦略的忍耐外交で中国のやりたい放題を容認してきた。これはまさに戦略であって、日本も戦前においてはインドシナ進駐が罠であった。

中国はあくまでも、『鄧小平の「才能を隠して時機を待つ」戦略をそう簡単に捨てるべきではなかった』のだろう。ソ連の崩壊も、ソ連のゴルシコフの大海軍構想がアメリカを刺激したのであり、大海軍の建設がソ連を経済的破綻に追い込んでしまった。そして中国の習近平も空母や原潜などを中心とする大海軍を作ろうとしていた。

しかしこのような軍事力の増強は、周辺諸国への威圧にはなっても、アメリカを警戒させて、様々な制裁を招く結果になる。FT紙の記事によれば、習近平はかなり消耗しているということですが、独裁国家といえども失策が続けば習近平の失脚につながる可能性もある。

中国の独裁政権は、経済成長することで国民の支持を集めてきましたが、経済制裁などで経済に陰りが見えるようになれば、国民の不満が爆発することになるかもしれない。中国は今のところ全面対決の姿勢を崩してはいないが、強気の姿勢を見せないと国民の批判を浴びかねない。

経済がいくら発展しても、政治が不安定だと繁栄が台無しになり、政治が安定するには完全な民主国家でないと安定しないし、無理に民主化を進めても混乱を招いてしまう。それよりも独裁国家で安定を維持しなければならないのが中国の現実だ。

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