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同盟とは、ある日突如、相手国の政治的打算によって打ち切られる

2018年08月03日 | 外交

同盟とは、ある日突如、相手国の政治的打算によって打ち切られ、まじめに
条約を信じていた国は裏切られたと感じるが、それは情緒的反応でしかない


2018年8月3日 金曜日

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 8月2日 

 アメリカの外交がなぜ中国敵視に急変したのか
  過去の世界史のグレートゲームに、その智恵と教訓がある

中西輝政『日本人として知っておきたい世界史の教訓』(育鵬社、発売=扶桑社)
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 「グレートゲーム」の変遷、そのおりおりに起きた情勢の変化による同盟関係の変質を世界史の広い展望のなかに捉え直して、日本が生き残るためになすべきことを考える。

世界史に多くの智恵と教訓があると中西教授が力説される。

 近代における日本の「同盟」感覚のずれは、いまも根が深いものがある。

幕末維新のときの世界史のゲームは列強のアジア侵略という文脈の中で、極東においても、英国とロシアの対決だったのである。

英国はユーラシア大陸の南縁を次々と掠め取って中国にアヘン戦争を仕掛けた。ロシアは不凍港を求めて、南進を開始し清の衰退期に乗じて極東沿岸部から、愛軍条約によって清の北側を強奪した。

 ロシアは対馬に上陸して居座る構えを見せた。江戸幕府は、このとき英国の軍事支援の提供を断りながらも、いずれにしても英国はロシアに圧力を駆けると踏んでいた。案の定、英国は軍事的威圧をもってロシアを対馬から退去させた。

また新興勢力のアメリカが、中国への巨大市場を求めて日本に橋頭堡を構築すべく、四隻の軍艦を派遣して開国を迫った。

 つぎなるは、30年後の「日ソ不可侵条約」前史である。「日独防共協定」ではソ連が共通の敵であるはずだった。そのドイツが、突如、ソ連と「独ソ不可侵条約」を締結し、青天の霹靂として平沼内閣は退陣するに到った。

 そして27年後、中国の辛亥革命を巡り、日英同盟の関係から、英国は清朝を支援するはずと日本は思いこみによる予測をしていたが、英国は共和国側の支援に走って、日本は混乱に陥った。西園寺内国は退陣を余儀なくされた。

 つまり同盟とは、ある日突如、相手国の政治的打算によって打ち切られ、まじめに条約を信じていた国は裏切られたと感じるが、それは情緒的反応でしかない。国益をかけた戦いは、ドライである。同盟関係の基軸は、突如として組み替えになることがある。

 古くは1814年のナポレオン戦争で、英国とロシアがナポレオンを挟撃した。ところが以後、英国とロシアが対立し、そのグレートゲームが極東に及び、幕末の日本を揺らした。

 しかし極東は英露のグレートゲームに於いてはワンノブゼムでしかなく、主舞台はバルカンと中央アジア、三番目がアジアの満州と朝鮮半島をめぐり地政学上のせめぎ合いだったのである。 

 中西輝政教授は言う。

「これはヨーロッパ近代史に繰り返される一つのパターンなのです。ヨーロッパの内部で欧州全土の覇権を握ろうとする国がでてくると、必ず欧州大陸側の両端(つまり英・露)から強大な力がはたらいて、その覇権志向の国を潰す」

 現代政治に、その余波が及ぶ。EU内部の亀裂と反露感情の強い西欧とNATOへの期待が大きい東欧との温度差ばかりか、EUから離脱する英国、それを横目にロシアに接近するアメリカという図式があらわれる。

 なによりも、ソ連崩壊によって現代史は一時期のパックスアメリカーナの実現をみたが、「歴史の終わり」ではなく、あたらしい始まりであり、

ロシアの衰退を代替したのが中国の登場だった。EUはロシアに敵対し、アメリカはEUの頭越しにロシアに近付く気配を濃厚とし、また朝鮮半島でもトランプは金王朝を揺らして、中国圏からの脱落を誘発させようとする。

 つまりグレートゲームの新展開は、評者(宮崎)がたびたび指摘してきたように、旧来の同盟の組み替えが、まさに行われようとしてことである。

中西教授が殆ど同じことを主張されているのは心強い限りで、本書では氏の持論が縦横に、広範囲に展開されている。

日本人として知っておきたい世界史の教訓

 


(私のコメント)

最近のアメリカ外交の豹変ぶりには驚きますが、中国の習近平もこのような事態は全く予想していなかったのだろう。歴代の大統領は、大統領選挙の時は反中国的な政策でも、大統領になってからは中国に丸め込まれて親中派になってしまった。アメリカのグローバル企業は中国に多大な投資をしてきたから、親中政策にならざるを得ない。

中国も、鄧小平時代から胡錦濤時代まではその事をよくわきまえていたから、対米外交は融和的なものであり、アメリカも米中によるG2による経済同盟関係を打ち出してきた。アメリカはテロとの戦いで中東にのめり込みましたが、国力を消耗するばかりで、その隙をついて中国が台頭してきた。

2010年には、日本を追い越してGDPで世界第二位の経済大国となり、日本は第三位に転落した。日本の高度成長といっても中国と同じであり、アメリカからの技術や資金などの援助で経済成長しただけであり、アメリカからの支援が無くなれば日本は25年にわたる経済の低迷が続くようになった。

電機や自動車といった産業も、アメリカが買ってくれたから高度成長しましたが、アメリカが経済的パートナーを日本から中国に切り替えると、とたんに日本経済は低迷してしまった。中国は低コストを武器に世界の工場とまで言われるほどとなった。日本企業も工場を中国に移転してきた。

日本は、アメリカと中国という二つの超大国に挟まれた形になり、日本外交の舵取りが難しくなってきた。中国はアメリカに対して太平洋の分割協定を持ちかけるほどとなりましたが、中国人の夜郎自大ぶりがよくうかがえるエピソードだ。日本人やアメリカ人から見れば冗談としか思えないのですが、中国人は本気だ。

習近平はAIIB構想を打ち出して、英独仏伊もこれに参加した。まさに中国とEUとが手を組むことであり、これは対米包囲網につながりかねない。特にドイツと中国との関係はアメリカを警戒させた。まさに中国、ロシア、EUとユーラシア同盟が形成されて、太平洋も西半分が中国のものとなれば、アメリカが孤立する。

オバマ大統領は、中国海軍をリムパックにも参加させて、まさに太平洋分割協定を容認するかのような態度をとった。だから南シナ海の軍事基地建設にも黙認してきたのだろう。日本はアメリカ海軍に基地を提供していますが、50隻以上の第七艦隊の軍艦が南シナ海から消えてしまった。

このようなオバマ大統領の外交は、アメリカ国民から見ればいらだたしいものであり、このような背景からトランプ大統領が誕生する事になったのだろう。ヒラリー・クリントンは選ばれなかったのは中国から金をもらってきたからだ。グローバル経済を肯定すれば必然的に親中国ならざるを得ない。

ヨーロッパの歴史から見れば、中国の台頭はナチスドイツの台頭によく似ている。それにたいしてアメリカは、EUやロシアと手を組まなければならない。アジアに対してもASEAN各国とも手を組まなければならない。今までのアメリカの対中外交とは正反対の外交ですが、台頭する大国を叩くのは外交の常套手段だ。

これに対して中国はどう対応するのだろうか。日本のようにアメリカに対して全面べたおれするか、少しずつ譲歩していくか、全面対決するかの方法しかない。ソ連は少しずつ譲歩しようとしたら国が全面崩壊してしまった。中国はおそらく同じような道を選ぶだろう。イギリスはいち早くEUと手を切ってアメリカにつきましたが、EUのドイツはまだ中国と手を組んでいる。メルケルはどうするのだろうか。

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