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トルコリラの下落が、欧州やトルコの銀行にとってリスク要因となり、世界の金融市場における懸念材料となった。

2018年08月15日 | 経済

トルコリラの下落が、欧州やトルコの銀行にとってリスク要因となりそうな
水準に下落したことで、世界の金融市場における懸念材料となった。


2018年8月15日 水曜日

トルコリラが急落した背景 8月14日 久保田博幸

トルコの通貨、トルコリラがここにきてさらに下げ足を速めてきている。対円では今年初めに30円台にあったのが、一時15円台にまで急落した。対ドルでも1ドル7.2リラ台に急落し、最安値を更新した。

トルコリラの下落が世界の金融市場のリスク要因としてあらためて認識されたのは、英紙フィナンシャルタイムズ(FT)が10日に、ECBが欧州の銀行のトルコ向け債権に対する懸念を強めていると報じたことがきっかけとなった。

伊国のBBVA、ウニクレディト、フランスのBNPパリバを特に注視しているという。これらの銀行はトルコで積極的に事業を展開しているとされている(ロイターの報道より)。

トルコリラの下落が、欧州やトルコの銀行にとってリスク要因となりそうな水準に下落したことで、世界の金融市場における懸念材料となった。ここからさらにトルコリラは下落するのかどうかがひとつの焦点になっていたが、そんな矢先に米国のトランプ大統領が火に油を注いだ。

米国とトルコの両国関係は米国人牧師アンドリュー・ブランソン氏の拘束を巡り悪化している。ブランソン氏は2016年のクーデター未遂事件を起こした反政府勢力を支援した罪に問われており、7月下旬に自宅軟禁に移されるまで約20か月にわたり収監されていた。

トルコのエルドアン大統領は12日、同国で拘束されている米国人牧師について、米国が解放の期限を8日に設定していたことを明らかにした(ロイター)。

エルドアン大統領は「テロ組織とつながりのある牧師と引き換えに8100万人のトルコを犠牲にするのか」とも発言し、トランプ大統領の対決色を強めたことによって、大西洋条約機構の加盟国同士の対立で欧州の安全保障にも懸念が出てきた。

このタイミングでトランプ大統領は、トルコ製の鉄鋼とアルミニウムに賦課する関税率を倍に引き上げると発表した。これについてトランプ大統領は、トルコとの関係悪化とともに、トルコの通貨リラが対ドルで急落したことを理由にしてしていた。

これに対してトルコのエルドアン大統領は自国民に「手持ちのドル、ユーロ、金をリラに転換せよ」と呼びかけた。通貨リラの相場安定のため不可欠とされる中央銀行による政策金利の引き上げに否定的な考えを示したことで、これが一段のリラ売りにつながったとみられる。

トルコリラの下落が、欧州やトルコの金融機関のリスクを増加させるとともに、その背景にあったトルコと米国の関係悪化がさらにトルコリラ売りを招くなど、今回の混乱は簡単に収まりそうもない。これが世界の金融市場にとって大きなリスク要因となってきたのである。



(私のコメント)

トルコリラが急落していますが、これは新興国に共通する経済危機であり、BRICSなどの新興国経済が危なくなってきていることが背景になっている。トルコも新興国の一つであり、特にヨーロッパからの投資を集めてきた。つまりトルコ経済がおかしくなれば投資してきたヨーロッパの銀行にも飛び火する。

新興国は、欧米などからの資本投資や技術供与などで経済発展をしてきましたが、新興国は政治不安を抱えていることが多く、民主国家としても成熟していない国が多い。だから経済が順調でも政治外交の混乱で足を引っ張る原因になることが多い。成熟した民主国家なら政治外交で失敗したら政権交代が起きますが、新興国ではそれが難しい。

中国でも、米中貿易戦争が起きていますが、習近平を簡単に取り替えるわけには行かない。トルコでも、同じようにエルドアン大統領と対米関係が悪化していますが、エルドアン大統領を簡単に代えるわけには行かない。日本ではジャパンバッシングで対米関係が悪化すると毎年のように総理大臣が交代した。日本では政権運営で失敗すれば民主制度で簡単に総理を代えることができる。

新興国では、簡単に大統領や首相を代えることは困難であり、エルドアンや習近平のように強権独裁政治になりやすい。ブラジルやアルゼンチンなどの通貨も急落していますが、経済運営の立て直しは難しいようだ。もともとBRICSなどへの投資ブームはゴールドマンサックスが主導したものであり、アメリカの国策でもあった。

アメリカは、新興国を経済成長させて市場を開拓していくと同時に、民主化を進めていこくことが国家の基本戦略であり、中央アジア諸国へのカラー革命や北アフリカ諸国などへのジャスミン革命などはそのあらわれだ。このようなアメリカの強引のやり方は反発を招きやすい。トルコもクーデター騒ぎがありましたが、アメリカの牧師が糸を引いていた。

このようなアメリカのBRICS戦略はアメリカの独善であり、経済成長させてくれるのはありがたいが、民主化を求めてくるなどの内政干渉は反発を招いてしまう。米中の貿易戦争もその一環であり、中国は経済成長して世界第二位の経済大国になったのに、民主化が進まないのにトランプ大統領は切れたのだ。

しかし新興国側にも国の事情が有り、BRICSと言われる諸国も民主主義政治では政治がうまく機能しない現実がある。形は民主制でも大統領などの権力者の独裁体制であり、政策で失敗しても権力者を交代させることは難しい。大陸国家と海洋国家の文化的な違いがあると思いますが、それが原因ではないだろうか。

海洋国家なら、船長が無能なら交代させないと船が難破してしまいます。だから民主的な論理で動きますが、大陸国家では強権的な独裁体制を作らないと他国に侵略されてしまう。トルコも大陸の一部であり強権的な国家体制を固めないと、周辺諸国に侵略されてしまう。

新興国は、ドル建てなどの外貨で大量に金を借りているから、自国の通貨の下落で借金が膨らんでいく。だからトルコの資産家はリラを売ってドルやユーロに買い換えている。ゴールドなども下落している。さらにトランプはトルコ製の鉄やアルミにも関税を引き上げた。さらにドルの金利の引き上げは新興国を窮地に追い込むだろう。

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