生駒市の市長選挙が始まった。
争点の一つが「緑」である。開発か、自然保護か、というよくあるテーマである。
ある候補者のスローガンに「減り続ける緑」という言葉がある。だが、本当に生駒市の緑は減っているのだろうか。『里山再生』にも記したのだが、実は30年前の生駒市の航空写真と現状を並べて展示していたことがあって、それを比べると、現在の方が緑は濃く感じたのだ。
もちろん条件付きだ。
緑の分布に大きな違いがある。市街地の緑はやはり減っている。生駒の市街地は、家々の間に緑地が多いのが特徴なのだが、それはあきらかに減っている。私有地の多くが、宅地やら公園やら施設やら、そして大規模なニュータウンの建設で、開発によって緑は失われた。
しかし、山や農地の緑は濃くなっているのだ。とくに谷間に広がっていた棚田の多くが森林に変わっている。あるいは変わりつつある。山の中の草地も森林化が進行中。とくに尾根筋は、かつてはげ山だったのが、見事に森に覆われた。
厳密な面積の増減は知らないが、市域全体として緑は減っていないのではないか。ただし、住人の周辺では減っている。あるいは藪化している。だから「減り続ける緑」という言葉が登場するのだろう。
その点は、日本の縮図みたいなものである。日本の森林率も森林蓄積も増えている。だが、人の目に触れる緑に問題がある。だから自然が破壊されたと思ってしまう。
もし「減り続ける緑」をなんとかしようと思うのなら、開発反対だけでは駄目だろう。現在ある緑をどのように維持するか、考えるべきである。さもないと、決して人の目に触れる緑は健全にならない。
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