人生いろは坂

人生は山あり谷あり、そんなしんどい人生だから面白い。あの坂を登りきったら新しい景色が見えてくる。

いのちの食べ方

2008-01-11 06:23:30 | Weblog
 とにかく形容し難いほどの強烈な印象を与える映画だった。全てが
食の大工場と言うにふさわしい情景ばかりである。孵卵場から始まる
可愛い命が無造作に選別され、管理された鶏小屋で飼われ、やがては、
ほどよく育ったところで機械の中に取り込まれ、吐き出されるように
カゴの中に押し込まれて解体工場へ。
 次々に毛をむしられ、機械にぶら下がって出てくる裸の鶏たち。
やがて頭を飛ばされ、足を切られ、鶏だった元の形は失われていく。
 
 延々と続くオリーブ畑、ほどよく色付いた頃、機械がやってくる。
木の根元を掴むと激しい振動がオリーブの木に伝わり、実はバラバラ
と土の上にこぼれていく。やがて大きな吸引車がやってきて、落ちた
実を吸い取っていき、一カ所に山積みする。

 大量の農薬を空中から飛行機でまき散らす、翼を広げたような機械
で広大な畑に農薬を散布する、ハウスの中をロボットのように農薬を
撒きながら走行するロボットのような機械。

 大量生産という名の下に、機械化された農場で、あるいはハウスの
中で、農薬漬けのひ弱な野菜が作られていく。

 農業のグローバルスタンダードと評された農業のあり方が問われて
いる。牛や豚のような家畜、鶏や魚や野菜等が、大きな農場や工場で、
そして広大なハウスの中で、あるいは養豚場で、流れ作業のように
生まされ、飼育され、やがて無造作に殺されていく。

 そこには命を頂くという謙虚な気持ちは微塵も感じられない。ただ、
工場で物を作るのと同じような単調な繰り返し作業が続いているだけ
である。鶏も豚も牛もただ人間に食を供するだけの目的で飼われている。
野菜は作られている。

 野菜の収穫に喜びはない。徹底的に管理された工場である。定期的
な農薬散布と時が来れば収穫をし、収穫が終われば枯らして撤去する。
その後は徹底的な消毒が行われ次の栽培を待つ。

 映画の中に音楽もなければ解説もない。流れてくるのは従業員達の
会話と動物たちの悲しげな鳴き声だけである。良くもまあこれだけの
映像を収録したものだと思わせるような映画であった。

 アットいう間に見終わっていた。ただただすごいの一語に尽きる
映画であった。

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