時期をみては粘土を揉んでいる。
手で揉む量はたかが知れている。
それでも揉まなくてはならない。
土練機さえ順調に動いてくれれば、
フ~、フ~言わずにあっという間に揉めるのに。
けれど鉄粉が出てくる土練機は使うことが出来ない。
粘土の調合をし、ひと塊ずつ揉めるよに小分けした。
小分けといっても2キロは優にある。それを順々に揉んでいく。
青磁にはピッタリの粘土の配合である。
ウマイ具合に青磁釉薬に貫入(ヒビ)が入るように調合した。
調合しつつ全部を揉むことを考えたら、一気に疲れが出て来た。
疲れようが何しようが揉まなくてはならない現状。
気合を入れて揉み始めた。
均一に力こめて揉み、空気が順調に抜けるように揉んだ。
この揉み方を、「 きくもみ 」と言う。
揉んだ形が菊の花のようだから付いた名前。
同じ方向に約5,60回揉む。
次は向きを変えて同じく5、60回揉む。
そうすることで粘土の中の空気が抜ける。
分かってはいるけれど、大変な作業である。
機械の無い時代の人々は更に大変な思いで土を揉んだろう。
現代の私たちは便利な恩恵にさずかっているのでマシだろう。
とはいうものの、やはり機械が使えたらなあ、と思ってしまう。
日中、工房のドアを開けているとトラちゃんが入ってくる。
青磁用粘土にはゴミなどを絶対に入れられない。
ロクロ場に飛び上ろうとするトラちゃんを慰めてやり、
工房前に敷物をしいてやった。
太陽光線が強く当たるのか、マットには寝ころばない。
工房入口で私の気配を感じながら、トラちゃんは眠りの世界へ。
トラの寝顔を見ながら、
よく元気に長生きしてくれる、と嬉しくなった。
トラちゃんはかなりの高齢、もう22~23年は経っているだろう。
トラちゃんには何も望まない。 ただいつまでも元気でいて欲しい。
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