愛詩tel by shig

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僕の彼女は最高の名医

2019年01月13日 12時46分40秒 | 小説

 

この短い小説は、日本看護協会が募集している(2019年2月1日締め切り)

「忘れられない看護エピソード」に応募するために書いたものです。

 

「僕の彼女は最高の名医」

 

ライト・アップされた建物。電飾が施された並木道。ぼくの周りだけが真っ暗だった。

 余命僅かと医師から告げられた夜、新米ナースの彼女は、なぜかとても明るかった。

「やっと私の出番ね。」

「なんだって?」

「いいの。どんな病もね、必ず治るっていう信念と、その人を心から愛してくれる人の力で治るものなの。」

 次の日、彼女は勤務している病院に超休暇を取り、僕を信州の温泉に連れてきた。

「お医者様でも草津の湯で持って歌、知らない?」

「うん、知ってるけど、僕の脳腫瘍は・・」

「うるさい、とにかく何度も入ること。いいわね」

 彼女は1日に何度も心を込めて作った料理やジュース、果物を運んできてくれた。

 ある夜、温泉に白い猿が入ってきた。

 そして3ヶ月が過ぎた。

 あの日、目の前が真っ暗になった診察室。

同じ白衣の医師がCT画像の前で動かない。

僕の隣では、彼女がニコニコ顔で座っている。

 やがて医師がこちらを向いた。

「一体何が何だか・・こんなことって・・僅か3ヶ月で脳腫瘍がすっかり消えてしまうなんて・・」
横でクスッと笑う彼女。

 

 大学病院の正面玄関で彼女は一言。

「ね、言ったでしょ。どんな病だって、必ず治るっていう信念と、その人を心から愛してくれる人の力で治るものなのって。」

 

 なんて娘なんだろう。僕は一生彼女に頭が上がらないだろうな。

 

 ヒバリの声が聞こえる。春はもう、春の風を運んできている。

 彼女が僕の脇腹をつつく。

「わかったって。僕の彼女は最高の名医だ。

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