帝国海軍はなぜ敗れたか

2007-08-15 23:33:03 | Weblog

帝国海軍はなぜ敗れたか―戦後五十年目の総括 (-)
吉田 俊雄
(著)

自費購入

日本が第二次世界大戦に突入した原因として、アメリカ海軍との建艦競争に敗れたことが紹介されていました。

これまで、開戦原因としては、石油禁輸が語られることが多かったです。
しかし、語られていなかった、建艦競争に敗れたことが、この本には記されていました。

日本海軍は、対米6割に反発して、軍縮条約を脱退しました。
しかし、その結果起こった建艦競争に敗れて、1944年には、3割海軍に成り下がるのでした。

日本海軍にとって、不都合なのは、それだけにとどまりません。
著者が推理するには、日本海軍が縮小される危機を逃れるために、勝ち目の少ない、アメリカ開戦を日本海軍が決意したというのです。

どうせ、3割海軍になって、アメリカ海軍に勝てないことが、はっきりしたら、対アメリカ戦に向けた、海軍軍備は不要だと、陸軍に主張されるだろうというのです。
ソ連海軍と中国海軍に勝てるだけの規模の海軍で充分である。その分の予算を、現に中国と戦いつつあり、ソ連を仮想敵国としている、陸軍に回せと主張するでしょう。そして、日本海軍はそれに反論する根拠を持ちません。

日本国内での海軍の立場が、陸軍の下となるのは目に見えています。それを避けるために、勝ち目の少ない、対アメリカ戦に突入したというのです。

太平洋戦争の海戦で、1943年前と、1944年以降では、様相がまったく異なります。
1943年前は、アメリカの少数の空母が、日本海軍と戦いました。1隻の価値が大きかったのです。1944年以降は、アメリカの空母集団が戦いました。1隻の価値など、注目に値しないのです。

これらの空母集団の出現は、開戦前の、日本海軍首脳は分かっていました。分かっていながら、愚かにも開戦してしまったのです。