パペット・モーテル。

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□ 西澤保彦 つながりで。神のロジック人間のマジック×人格転移の殺人

2006-10-28 | book×book
「神のロジック 人間のマジック」×「人格転移の殺人」


マジョリティの総意こそが、客観的事実!!
この錯誤のシステム こそが、悲劇を生む!!

というわけで、「神のロジック 人間のマジック」ですわ。
ここはどこ? 何のために? 誰によって? どういう経緯で? …何故の嵐!!
謎だらけの陸の孤島“学校(ファシリティ)”に、幽閉された6人の子供たちに試練が…。

日々を、実習(ワークショップ)として課される推理問題のディスカッションをして、
比較的平穏に過ごしていた彼らの元に、ある日、一人の新入生の来校が告げられる。

新入者の登場により、学校に巣食う“あいつ”が目覚めてしまう。破滅の予感を胸に、
不安に駆られる彼らの前で、殺戮が殺戮を呼び、驚愕の企みが暴かれていく!!

人間はナニカ(ファンタジー!?共同幻想!?愛!?)に依存して生きている。
萌え文化とて、その例外ではない。その萌えや依存の対象を、奪われてしまったら

様々な人種が入り乱れて共同体を形作っているさまは、さながら今のネット社会を
象徴しているようで、自己錯覚の一億総アバターが形成するコミュニティを想わせる。

ラスト、打ち砕かれた共同幻想の中、なすすべもなくこの世に放りだされた人間
なんとも悲しい余韻を残して閉じられる本書の世界とて、決して他人事ではない。

砂漠の現実を突きつけられた「マトリックス」や、現実の綻びに目を背け続ける
「春にして君を離れ」が容易に連想されてしまいますが、後引く読後感は圧巻!!


というわけで、「人格転移の殺人」ですわ。
なんなんだろう、これは。奇想天外とはまさに!!とにかく、すこぶる面白い!!

人間の人格と肉体を分離し、互いに入れ替えてしまう装置・第二の都市(セカンド・シティ)。
この装置、いつ誰がどう作ったのか、仕組みも何のために使うのかも全くの謎!?

しかしながら、不幸な天災により、たまたまそこ(セカンド・シティ)に居合わせた男女達が
人格転移させられてしまったことにより、生き残りをかけた殺戮が幕を開ける…

つーか、それじゃあ、バトル・ロワイヤルじゃん!!てな感じですが、人格転移は
次々に転移していくため、誰がどの姿で本来の人格を宿しているのか、判らないのだ。

この転移し続ける喜劇的状況を、仮面舞踏会(マスカレード)とよんでいるが、言いえて妙
この現象を解説するアクロイド博士など、曲者然として喜劇チックで秀逸なのダ!

しかも、アクロイド博士の姿を借りて、著者はここでも錯誤を語る!!
相互認識という共同化された“錯誤”によってしか、きみという
人間は存在できない!…人間というものはみんなそうだ!!


結局、6人は迷える子羊となって、人間共同体が形成する錯誤のシステムを
秩序を乱す悪夢じみた滑稽極まる装置によって試されてしまうというワケだ

どうすれば、この悪夢としか思えない転移を止めることが出来るのか?
転移する客体を殺していくことでしか、ここから逃れる術はないのか?

寝不足必至って、そりゃあ、これだけ入り組んでたら途中下車は出来ませんて!
頭がこんがらがってしまいそうで、またイチから出直さないといけませんからね!

このチャーリー・カウフマンばりの発想は出色!!オチもなかなかに効いていて
読み応え十分!!西澤ワールドのいいとこどり、面白くないわけがないって



「神のロジック 人間のマジック」 西澤保彦著   ★★★★
「人格転移の殺人」        西澤保彦著   ★★★★☆

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