共通テーマ「茶」でYが書いた詩を投稿します。

水屋
稽古を終えて帰宅すると
師からの電話
「すぐ戻って来るように」
忘れ物をしたか
「水屋を見て来なさい」
師の静かな声
わたしが片付けた茶道具の横
水盤の濁った水に浸かったままの
茶巾が一枚
小さく細く光る切っ先を突きつけられたよう
若かったわたしはまるで三面鏡の中
永遠に映り込むこざかしく薄っぺらな浅ましく胡散臭い歪なさもしい無価値なわたしに囲まれて
動けなかった
気づかぬということ
知らぬということ
道具と茶と水
今もわたしはあの水屋で
ただ支度をする
心を込める

















