湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

山頭火の日記

2021-12-03 18:48:56 | 文学

からむものがない蔓草の枯れてゐる
今日は種田山頭火(1882~1940)の誕生日。日記に記された彼の文章をいくつか読んでみました。
人間は人間の中へはいりたがる、それが自然でもある、私にだってそれが本当だろう。(昭和7年10月19日)
理解のない人間に会うよりも、山を見、樹を眺め、鳥を聞き、空を仰ぐ方が、どのぐらいうれしいかは、知る人は知っている。(昭和8年1月27日)

人の中に居たいけれど、長く深くは難しくて、一人にもなりたい人だったようです。
私は自覚する、私の句境――というよりも私の人間性――は飛躍した、私は飛躍し飛躍し飛躍する、しかし私は私自身を飛躍しない、それがよろしい、それで結構だ、私は飽くまで私だ、山頭火はいつでも山頭火だ!(昭和11年11月16日)
人と共にあるより強く俳句と共にあることを願い、種田正一ではなく山頭火でありたかった人でした。
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紅葉坂

2021-12-02 18:03:56 | 文学
帯の間にはさんだままにしておいた新聞の切り抜きが胸を焼くようだった。葉子は歩き歩きそれを引き出して手携にしまいかえた。旅館は出たがどこに行こうというあてもなかった葉子はうつむいて紅葉坂をおりながら、さしもしないパラソルの石突きで霜解けになった土を一足一足突きさして歩いて行った。
…と、有島武郎「或る女」に出てくる横浜の紅葉坂。

葉子のモデルは国木田独歩の最初の妻、 佐々城信子。独歩をモデルにした人物は木部孤笻という名で、作者自身も古藤義一という名で登場します。
引用文の中で葉子が持っている新聞には、アメリカ行きの船中で出会った妻子ある船の事務長、倉地三吉(モデル武井勘三郎)とのスキャンダルが報じられていました。これによって二人の生活は窮迫していくことになるのです。

紅葉坂の頂上の紅葉ケ丘には神奈川県立図書館があります。
隣接する県立音楽堂と共に、今年神奈川県の重要文化財に指定された前川國男の名建築です。
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動詞入りの季語

2021-12-01 20:33:08 | 文学
Eテレ「NHK俳句部」を見ていたら、動詞の入った季語で詠む場合は他に動詞を使わないというポイントが紹介されていました。
名詞の季語が多いので、うっかり見落としがちなポイントです。
今季の季語だと「日記買ふ」「賀状書く」「毛糸編む」などが、動詞入りですね。
番組では「山眠る」を取り上げ、擬人化季語でもあると説明されていました。

山の季語は春「山笑ふ」夏「山滴る」秋「山粧ふ」冬「山眠る」と、季節ごとにあります。
手前の具体的なものと取り合わせるとよくできるという櫂先生のアドバイス。ためになったね~(もう中学生風に)♪
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