湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

逗子の写真アーティスト

2016-10-20 02:58:53 | 日記
逗子アートフェスティバル市民企画として昨日まで市民交流センターで開催されていた井出祥子さんの写真展「TAGOE~田越川の幻景」
 プログラムより
去年文化プラザギャラリーで個展を拝見してから影響されて、田越川の水面の写真を時々このブログに載せたりしていますが、私の水面写り込み写真は天地を反転しただけ。子供の真似っこ遊びのようなものとして笑って許してもらってます。

井出さんの隣のパネルは、3月に夏目漱石没後百周年記念「漱石と日本の21世紀美術展」に出品した作品。漱石の「こころ」に描かれた心象風景をデジタル芸術写真で表現したものだそうです。

さて「時間」の詩の締切が近づいてきました。未提出のメンバーさんは明後日までに出してくださいね!
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井上靖「猟銃」

2016-10-19 00:00:24 | 

昨日ご紹介した井上靖の詩集「北国」にこんな散文詩が収められています。
  
猟銃
なぜかその中年男は村人の顰蹙を買ひ、彼に集まる不評判は子供の私の耳にさへも入つてゐた。
ある冬の朝、私は、その人がかたく銃弾の腰帯(バンド)をしめ、コールテンの上衣の上に猟銃を重くひこませ、長靴で霜柱を踏みしだきながら、天城への間道の叢をゆつくりと分け登ってゆくのを見たことがあつた。
それから二十餘年、その人はとうに故人になつたが、その時のその人の背後姿は今でも私の瞼からきえない。生きものの命断つ白い鋼鉄の器具で、あのやうに冷たく武装しなければならなかつたものは何であつたのか。私はいまでも都會の雑沓の中にある時、ふと、あの猟人(ひと)のやうに歩きたいと思ふことがある。ゆつくりと、静かに、つめたく――。そして、人生の白い河床をのぞき見た中年の孤獨なる精神と肉體の双方に、同時にしみ入るやうな重量感を捺印(スタンプ)するものは、やはりあの磨き光れる一箇の猟銃をおいてはないかと思ふのだ。


井上靖は「猟銃」という短編小説も書いています。その中に下記の、同じタイトルの詩が挿入されています。

 その人は大きなマドロスパイプを銜え、セッターを先に立て、長靴で霜柱を踏みしだき乍ら、初冬の天城の間道の叢をゆっくり分け登って行った。二十五発の銃弾の腰帯、黒褐色の河の上衣、その上に置かれたチャアチル二連銃、生きものの命断つ白く光れる鋼鉄の器具で、かくも冷たく武装しなければならぬものは何であろうか。行きずりのその長身の猟人の背後姿に、私はなぜか強く心惹かれた。

 その後、都会の駅や盛り場の夜更けなどで、私はふと、ああ、あの猟人のように歩きたいと思うことがある。ゆっくりと、静かに、冷たく――。そんな時きまって私の瞼の中で、猟人の背景をなすものは、初冬の天城の冷たい背景ではなく、どこか落莫とした白い河床であった。そして一個の磨き光れる猟銃は、中年の孤独なる精神と肉体の双方に、同時にしみ入るような重量感を捺印しながら、生きものに照準された時は決して見せない、ふしぎな血ぬられた美しさを放射しているのであった。

二編の詩を比べると、小説「猟銃」の中の散文詩「猟銃」の「猟人」の方が、詩集「北国」の中の「猟銃」の主人公よりも
―ややこしくてすみません―裕福なブルジョアジーっぽく描かれています。
同じ人生の白い河床というテーマで、キャラクター設定を変えて小説に発展させたという訳ですね。
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井上靖の詩

2016-10-18 11:59:15 | 
井上靖はTが好きな詩人のひとり。小説家としてしか認識していなかったけれど、詩集もこんなに出していたんですね。
 井上靖全集第一巻口絵より
「北国」から一篇引用します。

十月の詩

はるか南の珊瑚礁の中で、今年二十何番目かの颱
風の子供たちが孵化してゐます。

やがて彼等は、石灰質の砲身から北に向つて發射
されるでせう。

そのころ、日本列島はおほむね月明です。刻一刻
秋は深まり、どこかで、謙譲といふ文字を少年が
書いてゐます。
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時間の詩パート8

2016-10-17 11:11:24 | オリジナル
共通テーマ「時間」でSが書いた詩を投稿します。

停電

みじかい停電
なまあたたかい炬燵で
夫だった人と
蝋燭のあかりのなかで
話すことがなかった

みじかい停電
その時間のなかで
初めて聴く
かれの苦労ばなしだった

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フリマ&時間の詩パート7

2016-10-16 16:44:54 | オリジナル
                  謎のアフロ販売員↓

本日のヤサイクルフリマにお越しいただいた皆様ありがとうございました。
次回は10月29日(土)12:30~15:30に、晴れていれば同じ場所(逗子海岸ロードオアシス ヤサイクル前デッキ)で行います。
またよろしくお願いしま~す
では、共通テーマ「時間」でSが書いた詩を投稿します。

時間

花屋の花に
無色の時間が
重なり合っていて

女みたいに
花が買い手を待たされている

一つ売れると
悪いほうを択んだ
と花が言う

バラみたいなバラ
スミレみたいなスミレ
ああ グロテスク

花屋では“花の時間“をとらえるのもさることながら
“花の時間“でとらえるという
もう一つのアングルが見過されている
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今週末はマーケット日和

2016-10-15 14:20:24 | イベント
今日の17時まで、黒門カルチャーくらぶ高台ピクニックスペースでグッドモーニングマーケット開催中。

海沿いマーケット日和は明日も続きそう。なので、逗子海岸ロードオアシスのヤサイクルフリマに私たち湘南文芸が出店します。
お安くしておきますよ! 訊いていただければ会の案内もいたします。

場所はここ。10月16日(日)ヤサイクル前のウッドデッキで15時頃までやってます。ロードオアシスでお食事・お買い物・駐車の際にはぜひお立ち寄りください。
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時間の詩パート6

2016-10-14 15:46:43 | オリジナル
交流センター1階カウンターで花瓶に活けてある枝に不思議な実がなってると思ったら、いつもセンターに折紙アートを提供している小林さんが折った柿の実をスタッフが付けてくれたんですって。

では、共通テーマ「時間」でTが書いた詩を投稿します。

不倫

雨が降り始め
窓ガラスに滴が流れる
にじんでいく時間

怠惰でいい
不誠実でいい
ただ抱き合い 乱れ
疲れてまどろむ
目覚め また まさぐり合い
部屋は熟れていく
互いの行き先など知らなくていい

窓を少し開けると
軒下のくもの巣にたくさんの滴がついて
かかった蜻蛉も水晶になっている

くもの巣だけが
確かな時間の中にある


「時間」の詩の締切は10月22日(土)。合評会は10月24日(月)14:00~です。
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俳句展&時間の詩パート5

2016-10-13 17:04:19 | オリジナル
逗子アートフェスティバルの一環として逗子文化プラザギャラリーで開催中の浪子句会俳句展に寄ってみました。

写っている3人の中央が主宰者の三井日果さん。句集「馬比べ」が逗子市立図書館に収蔵されていますよ。
↓彼女の作品がこちらです。

下五の季語雁来紅はガンライコウと読み、ハゲイトウのことです。浪子句会俳句展は明日14日(金)16時までです。
では、共通テーマ「時間」でIが書いた詩を投稿します。

時は戻る

終わってしまった出来事も
過ぎてしまった出来事も
ある時 ふっと
タイムマシンを使ったように帰ってくる

未来に向かって歩いていても
明日のために生きていても
ある時 ふっと
思い出すたび 時は静かに帰ってくる

きのうの夢も
今は存在しない人や物も
ある時 ふっと
どこからともなく帰ってくる

ある時 ふっと
昔の涙や笑いも帰ってくる
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時間の詩パート4

2016-10-12 08:07:34 | オリジナル
テーマ幻の時に不評だった「夢幻」を大幅に改めて「時間」の詩にしたAの作品を投稿します。

幻の時

今年も夏が死んだ
成長を止めた影たちは
我慢のにじむ疲れた顔で
シンボルロードを引き返し
現実の岸へ戻っていった
落とし物は波にさらわれ
もう海岸に旗は出ない
秋の誕生は遅れに遅れ
待ちきれずに虫たちがすだく
土の中では幼虫が
永遠の夢に浸っている


改稿前の詩とその批評を下に記します。
夢幻
セミの死骸が転がって
蜃気楼のような夏が逝く
成長を止めた影たちは
シンボルロードを疲れた顔で
現実の場所へ戻って行った
落とし物は波にさらわれ
もう海岸に旗は出ない
虫の集きが止むころには
次の季節も幻と消え
土の中では幼虫が
とろけた夢に浸るのだろう

:作者の弁 :評者の弁
出だしが「いかにも」で、面白くないな~。
この2行が浮かんで書き始めたのにダメ?
気障な感じがします。最後から3行目は当たり前って感じ。
その前の行の「集く」ってどういう意味?
群れて鳴くという意味合いで使いました。真夏の海水浴客と秋の虫たちをなんとなく掛けたんですけど。
中盤にはAらしい独自の表現があるんだけど、全体的には不発。題名も変えた方がいいと思います。
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逗子ファンタジー&時間の詩パート3

2016-10-11 09:28:45 | オリジナル
10月10日まで3夜連続で開催された逗子海岸ナイトウェーブ。

一昨日は宮で食事をしながら鑑賞 
最終日はキャンドルライトとコラボした演出で。

海をバックにファイアーパフォーマンスも。

結局3晩皆勤しちゃいました。
では、共通テーマ「時間」でAが書いた詩を投稿します。

粘り強く病むこと

一生に一度
いい詩が書けた 
それだけで充分と
そっぽを向いてみせるとは
許しがたい虚言だ
時の一点に
いつまでも淀んでいられると
うそぶくな

君の描くベンチに
誰も座らなくても
憂うことはない
そこでうそぶくのだ
座らなくていいと
そして針で突く奥底で
座らせようと葛藤するのだ

短い光と薄い空気の中で
時の奥行きを見ようと
扉のない壁を抉じ開けようと
立ち枯れるまでとめどなく
不治の病を患いもがけ

底についても
蹴飛ばせば浮き上がれる
大嵐の後すぐに
逞しく鳴き始める虫たちのごとく

恐ろしいほど奥が深いのが夜
思っているより遥かに不屈なのが人
地獄とは陰のない世界のことだ

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