湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

耳の詩パート3

2024-02-25 21:48:49 | オリジナル

共通テーマ「耳」でMが書いた詩を投稿します。

 
あの日 毒を飲んでしまった
 
息を潜め大人の会話を盗み聞きした
バチが当たったのかもしれない
 
両親がいつも以上に大声でケンカするから
眠れず階段に腰かけ耳を澄ました
子供には意味不明な内容だったけれど
「あの子さえ居なければ出て行くのに」
母が言ったそれだけはすっと耳に入ってしまった
 
私と馬が合わない同居している祖母が
真夏に汗だくで昼寝をしていた
親切心から寝苦しそうな祖母の顔に
扇風機をあてたが 
気の回らない子供の私は直風にしていた
息苦しくなった祖母は目を覚ました
その晩 泊まりに来ていた祖母の娘達に
「あの子に殺されかけたわ」と
扇風機の話をしていた
階段の上で盗み聞きしていた私の耳に
「殺されかけた」という言葉がまんまと入ってしまった
 
今でも解毒できずにいる
コメント
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