自由題「昼下がり」

Tが自由題で書いた詩を投稿します。

昼下がり

陽ざかりに
汗がふきでる
人通りのない別荘地の午後を歩く
影だけが張り付いてついてくる

路地の奥に海が見える
潮が引いて岩場がむき出しだ
子供が二人
しゃがんで何かをしている
女の子が男の子を呼んでいる
あれは私だ
やせっぽちの十才の私
男の子は隣の清ちゃんだ
潮だまりに残っている
ヤドカリやカニ　小さなタコを採っている
　あそこにあるのは
　現在（いま）だけを生きる本当の時間

ふいにツクツクボウシが鳴き始めた
晩夏に遅れてきた蝉
今を鳴いている

きょうはもう少し歩いていこう