湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

自由題「ごみ箱」

2019-08-19 22:33:29 | オリジナル
Aが自由題で書いた詩を投稿します。

ごみ箱

実家に行くたびに
父親に関する愚痴を聞かされた
――酔って転んで帰ってきて
ズボンが泥だらけで破けていて
みっともないったらありゃしない――
わたしは母親のごみ捨て場だった

ウイルス性の風邪で寝込んだとき
夫は不思議そうな顔で訊いた
――なぜ吐いたものを始末してくれるの?――
――病めるときも愛すと誓ったからだよ――
にっこり返事したわたしなのに
彼が心を病んだとき耐えられず捨てた

海水浴場近くの道で
ごみを拾ったので
捨てに行ったら
海岸のごみ箱は撤去されていた
両手にごみを持って
胸の箱にとある教訓を受けた
コメント
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