湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

場所の詩パート1

2016-12-07 01:07:09 | オリジナル
新しい共通テーマ「場所」でAが書いた詩を投稿します。

越境者の死

人工の擁壁に守られた理想郷に
うかうかと入り込んだわたしは
家具の埃を払うように
黙ってはたき落とされ
雄弁な静けさを
みっともなく破る

泣き声と涙と洟水で聖域を穢し
更なる侮蔑を冷たく浴びる
石畳に醜く張り付く
迷惑以外の何ものでもない
わたしの臓器から
捨てたはずの羞恥の
滓さえも脱走していく
ほら そこの坂を転がって
消えていく

不便も贅沢になる温暖な地区で
高額の物件管理費を難なく支払い
風光明媚という古びた世辞を
薄皮の表面で受け流す精巧な傲慢は
君たちが死んだって次世代の君たちに
紐のついた血統書に
蛇の心の豚に 
周到に受け継がれる

わたしの心臓は爆発した
物欲しいよそ者の
居たたまれなさを隠すには
それしか途はなかった
まあ そんなものだ
だいぶ前から飽きてもいた
地上で脈打つことに
コメント
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