湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

執筆のための家

2016-05-14 09:53:02 | 文学
5月9日にアップした鎌倉吉屋信子記念館。執筆という行為を追究して設計された書斎にまずうっとりしたけれど、他の部屋も執筆を支えるしつらえになっていましたよ。例えば寝室。
 天井照明がない船底天井。
光は南側の間接照明と窓からの外光だけ。展示されている解説にはこんなふうに書かれています。
施主は執筆のため、しばしば日中に寝る必要があり、室内の明るさを最小限にした空間を必要としていたと考えられる。(中略)開口部は、書斎の開口部と同様に壁に引き込み、開放することができる。
応接間でも、奥の食堂まで続く白いヘリンボーン張りの天井に口ポカ~ンしちゃいましたけど、作家の打ち合わせや会合のことをしっかり考えて設計されているようです。
 ペンダントライトも当時のまま。
応接間に隣接する和室が一段高いレベルになっているのは、洋室で椅子にかけている人と和室に座っている人との目線を合わせるため。
設計者の吉田五十八(明治27年~昭和48年)は、この邸宅の前にも吉屋邸の設計を2回手がけているのですが、最初の家(新宿区牛込)で初めて試みた手法なのだそうです。
長谷の家は「奈良の尼寺のように」と頼まれて、昭和37年に設計しました。
オール畳生活の庶民が公団住宅のダイニングルームにびっくりしていた頃の、高級和モダン建築なのですね。
コメント
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