湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

目覚めの詩パート4~6

2016-02-02 00:00:32 | オリジナル
メンバーの新作がどっと届きました。共通テーマ「目覚め」の詩、M作2篇とT作1篇合計3篇を投稿します。

   独居老人の目覚まし

今夜あたり 死ぬかもしれないのに
知りませんよ
目覚まし時計が愚痴をこぼす
こんな寒い夜ちびたサンダルで生ゴミ捨てに
空元気でやっていこうというわけだ

今夜あたり 死ぬかもしれないのに
ほら また 追悼番組に飛びついて

可愛くない目覚ましね
わたしは可愛らしさはありません
上目使いはできません
年中無休で働いて男盛りもとうにすぎました

生きるのをやめないあなた
もう終わらせたいわたし
今夜こそ 喪服をつけて
ぐっすりねむりましょう


   或る目覚め

サルが いやネコが いや サルが
どちらでもいい とにかく めがねをかける
サルをかっているんだ 詩なんか書くんだぜ
M氏は大きな指で大きなバナナを食べおわると
しみじみと言った
詩なんかクソくらえ と大声をだした
ペットのサルからノートをとりあげ よんでみる
  目が覚めてすでに演技の手足です
よんですぐ 詩の意味が M氏にわかった

その日からM氏は 詩をはじめた
我が愛する猿の記 という題で


   

はじめは庭の隅の湿った場所で
嫉妬が生まれた
おまえがやってくると
彼の全てはおまえにのっとられてしまう
嗜好は変わり 思考もゆがむ
シンクの前で涙が零れ恨みがあふれた
突如 自分は偉いと思いあがり
他人にはイライラ感をつのらせる彼
おまえは彼を完全に狂わせる
ついに怒りが目覚めた
おまえが言わせている とわかっていても
一方的に言葉の暴力を浴びせてくる彼に
怒りはふくれ上がった

日々は穏やかだった
買い物も一緒に行ったし
サッカーの試合も二人でテレビ観戦もした
角に新しいお店ができた とか
あの人に孫が生まれた とか
普通の会話は全て消えて
おまえのせいで
訳の分からないねじれた時間が続いた
だから おまえを追い出すために
彼を保護室に放り込んだ
おまえはのたうちまわり
やがて彼の中から抜け出していった

笑顔がいつもの 彼が部屋にいた

これらの作品は、逗子市民交流センター1階で2月6日(土)13:00~開催する合評会で取り上げる予定です。
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