魚鳥木、申すか?申さぬか?

ぎょ・ちょう・もく、申すか?申さぬか?
申す!申す! 魚⇒ニシキゴイ。鳥⇒ニホンキジ。木⇒制定無し、花は桜と菊

百人一首の和歌の原文・現代訳・英訳を紹介します。「17」

2017年12月08日 | 百人一首
百人一首の和歌の原文・現代訳・英訳を紹介します。「17」

※英訳については、1909年にWilliam N. Porterが書いた百人一首の本
『A HUNDRED VERSES FROM OLD JAPAN』を参照しています。

和歌番号017 
作者:在原業平朝臣
author of waka:THE MINISTER NARI-HIRA ARIWARA(ARIWARA NO NARI-HIRA ASON)

原文
ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは
(ちはやぶる かみよもきかず たつたがは からくれなゐに みづくくるとは)

現代訳
(川面に紅葉が流れていますが)神代の時代にさえこんなことは聞いたことがありません。竜田川一面に紅葉が散りしいて、流れる水を鮮やかな紅の色に染めあげるなどということは。

英訳
ALL red with leaves Tatsuta's stream
 So softly purls along,
The everlasting Gods themselves,
 Who judge 'twixt right and wrong,
 Ne'er heard so sweet a song.

The writer, who lived A.D. 825-880, was the grandson of the Emperor Saga, and was the Don Juan of Old Japan; he was banished because of an intrigue he had with the Empress, and his adventures are fully related in the Ise-Monogatari. The Tatsuta stream is not far from Nara, and is famous for its maples in autumn. Chi haya furu, literally 'thousand quick brandishing (swords)', is a 'pillow-word', or recognized epithet, for the Gods, and almost corresponds to Virgil's Pious Æneas, and Homer's 'Odysseus, the son of Zeus, Odysseus of many devices'. It may be noted that these 'pillow-words' only occur in the five-syllable lines, never in the longer lines.

In the picture we see the poet looking at a screen, on which is depicted the river with the red maple leaves floating on it.

解説
 在原業平朝臣(ありわらのなりひらあそん・天長2年~元慶4年 / 825~880年)は「在五中将」などともよばれ、兄の行平と共に平安時代を代表する歌人です。
 紀貫之が選んだ六歌仙のひとりとして、また、藤原公任の選んだ三十六歌仙のひとりとしても名前が挙げられている素晴らしい歌人です

 平城天皇の皇子、阿保親王の第五子で、『伊勢物語』の主人公のモデルだとも言われています。
 藤原氏の権力のため生涯不遇でしたが、「古今」、「後撰」、「拾遺」、「新古今」など、多くの勅撰集に和歌が残されています。

 ある時、業平は清和天皇の女御の高子様に招かれてお屋敷を訪ねましたが、(高子様は天皇にお仕えする前に業平と愛し合っていたので) 「屏風にわたしたちの恋を和歌にして書いてください」と願われて、この和歌をつくったと伝えられています。

 在原業平の心内が見えるような見事な和歌ですが、「古今集」では、屏風に描かれた竜田川の秋の情景を見ながら、この歌を詠んだとされています。
 「水くくる」の「くくる」は「くくり染め」のことで、紅葉が、水面に鮮やかな模様を描いている様が目に見えるようです。



★おススメ本★  

A Hundred Verses from Old Japan: Being a Translation of the Hyaku-Nin-Isshiu
Tuttle Pub


図説 百人一首 (ふくろうの本/日本の文化)
河出書房新社


百人一首の歌人列伝(業平、定家に西行…人気二十歌人の面白エピソードと代表歌を知ろう! )
歌林苑


本書は「平成和歌所」のウェブコンテンツ「一人十首の歌人列伝」を再編集したものです。
http://wakadokoro.com/

厳選した百人一首歌人の「おもしろエピソード」と「十首の秀歌」を分かりやすく解説した読み物は、幅広い層の和歌ファンに人気を博しました。
これを読めば「はるか昔にいた正体不明のオジサン」だった歌人たちが、グッと身近に感じられることでしょう。

そして本書を読み終わった後、あらためて百人一首を一番から眺めてみてください。
王朝の歴史絵巻が紐解かれ、つまらなかったあの百首歌たちが息吹を宿し、断然おもしろく感じられるはずです。

※読みやすい文字サイズ&文章で、約200ページがあっという間に読み終わります!
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