魚鳥木、申すか?申さぬか?

ぎょ・ちょう・もく、申すか?申さぬか?
申す!申す! 魚⇒ニシキゴイ。鳥⇒ニホンキジ。木⇒制定無し、花は桜と菊

百人一首の和歌の原文・現代訳・英訳を紹介します。「10」

2017年12月01日 | 百人一首
百人一首の和歌の原文・現代訳・英訳を紹介します。「10」

※英訳については、1909年にWilliam N. Porterが書いた百人一首の本
『A HUNDRED VERSES FROM OLD JAPAN』を参照しています。

和歌番号010 
作者:蝉丸
author of waka:SEMI MARU

原文
これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも あふ坂の関
(これやこの ゆくもかへるも わかれては しるもしらぬも あふさかのせき)

現代訳
これがあの有名な、(東国へ)下って行く人も都へ帰る人も、ここで別れてはまたここで会い、知っている人も知らない人も、またここで出会うという逢坂の関なのだなあ。

英訳
THE stranger who has travelled far,
 The friend with welcome smile,
All sorts of men who come and go
 Meet at this mountain stile,—
 They meet and rest awhile.

Semi Marti is said to have been the son of the Emperor Uda, who reigned A.D. 888-897. He became blind, and so, being unable to ascend the throne, he retired to a hut on the hills, near to a barrier gate, and amused himself with his guitar. The translation does not fully reproduce the antithesis of the original—'this or that man, people coming and going, long lost friends and strangers'. The last line is literally 'the barrier on the mountain road of meeting'; and Ōsaka no Seki, as the name is now spelled, a small hill on the edge of Lake Biwa, not far from Kyōto, is the site commemorated in this verse.

解説
 蝉丸(せみまる)は平安時代初期の人ですが、生まれた年など、詳しいことは分かっていません。
 『今昔物語』巻二十四によると、蝉丸は宇多天皇の皇子・敦実親王に仕える官位の低い官僚で、のちに逢坂山に住んだと記されています。
 盲目であったとも言われていますが、和歌に優れると共に、琵琶の名手でもあったと伝えられていて、浄瑠璃や歌舞伎などでも、蝉丸を題材にしたものが伝えられています。

 この和歌は、蝉丸があふ坂(逢坂)の関で互いにすれ違い別れていく人たちを見てつくった和歌だと言われていますが、人と人との出会いと別れの機微が、とてもうまく表現されています。

 また、「あふ坂(逢坂)の関」の「あふ」は前の句の「別れては」にかけていて、「行く」・「帰る」、「知る」・「知らぬ」といずれも対になっていますが、「も」の繰り返しで、和歌全体の調子をうまく整えています。




★おススメ本★  

A Hundred Verses from Old Japan: Being a Translation of the Hyaku-Nin-Isshiu
Tuttle Pub


図説 百人一首 (ふくろうの本/日本の文化)
河出書房新社


百人一首の歌人列伝(業平、定家に西行…人気二十歌人の面白エピソードと代表歌を知ろう! )
歌林苑


本書は「平成和歌所」のウェブコンテンツ「一人十首の歌人列伝」を再編集したものです。
http://wakadokoro.com/

厳選した百人一首歌人の「おもしろエピソード」と「十首の秀歌」を分かりやすく解説した読み物は、幅広い層の和歌ファンに人気を博しました。
これを読めば「はるか昔にいた正体不明のオジサン」だった歌人たちが、グッと身近に感じられることでしょう。

そして本書を読み終わった後、あらためて百人一首を一番から眺めてみてください。
王朝の歴史絵巻が紐解かれ、つまらなかったあの百首歌たちが息吹を宿し、断然おもしろく感じられるはずです。

※読みやすい文字サイズ&文章で、約200ページがあっという間に読み終わります!
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